マルチシグをわかりやすく解説

マルチシグ(multisig)とは「マルチ・シグネチャ」の略称です。

シグネチャ(Signature)とは、契約書にサインをするなど「署名(しょめい)」をする機能を意味します。

マルチとは複数あるということなので、マルチシグは複数人の署名が実行されることによって契約が成立する(ロックが解除されたり、取引が完了する)仕組みのことになります。


マルチシグとシングルシグの違い

マルチシグとは反対に、シングルシグ(シングル・シグネチャ)という機能も存在します。

マルチシグは複数人の署名が必要なのに対して、シングルシグは一人の署名で契約が成立する機能の事を指します。

当然マルチシグの方がシングルシグよりもセキュリティ性能が格段に高くなり、安定したシステムを構築する事が可能です。


マルチシグ「2 of 3」

マルチシグを設定する場合、通常は3つ以上の鍵を用意し3つのうち2つのサインがあれば契約が成立する仕組みが一般的です。

これを2 of 3と呼びます。

5つの鍵を用意し、2つのサインでロックが外れる場合は2 of 5ということになります。

5つも鍵を用意している場合は、通常五人以上がサインできる(秘密鍵)を所有しているため誰かと結託しない限り契約が成立しない状況を作りだすことが可能です。


マルチシグアドレスの特徴

27文字から34文字で生成されるビットコインアドレスは1もしくは3から始まります。

一般的にビットコインアドレスは1から始まりますが、マルチシグアドレスは3から始まります。

アドレスの最初の文字によってマルチシグが実装されているかを調べる方法です。

ちなみにビットコインアドレスはBase58というフォーマットを採用しているため数字の「1」と間違えやすい小文字のエル「l」は使用できないようになっています。


マルチシグの仕組み

マルチシグは仮想通貨取引所で採用されることが増え始めてきていますが、他のサービスでも利用されることがあります。

マルチシグの仕組みを理解する上では「マルチシグ・エスクロー」の活用事例がおすすめです。

エスクローとは、取引の安全性を保証する仲介サービスのことです。

詳しくは以下の記事を御覧ください。

関連記事:エスクローとは

例えば、オンラインショッピングモール(楽天やアマゾンのようなサイト)で「買い手が代金を支払い、売り手が商品を納品する」という一連の取引に、マルチシグを組み込んだ場合を想像してみましょう。

マルチシグの鍵は、買い手、売り手、ショッピングモールがそれぞれ1つずつ保有しています。

この場合設定されるのはマルチシグ「2 of 3」(三人のうち二人がサインすれば契約が成立する仕組み)です。

買い手は注文した商品が確認できた場合のみサインをします。万が一商品に欠陥がある場合や商品が届かない場合はサインをしなければ契約は成立していないため支払ったお金が戻ってくるだけということなります。

売り手は買い手から商品代金が振り込まれない場合、サインをしなければ契約は成立しません。

発送する前に料金を確認することができれば、料金を回収できないというトラブルが発生することはなくなります。

買い手と売り手それぞれが正当に商品取引を行えば、二人のサインが揃うため契約が成立する仕組みです。


万が一売り手が正当に商品を郵送したにも関わらず、買い手が欠陥品とクレームを出してきた場合など紛争が起きた場合にはマルチシグの有効性が発揮されます。

ショッピングモールが第三者として状況を確認し、売り手の正当性が認められた場合のみショッピングモールがサインすれば、売り手とショッピングモールで2つのサインが揃うため、売り手は商品代金を受け取ることが可能となります。

逆に売り手の正当性が認められなかった場合は料金を受け取ることができないため、返金されるという仕組みになります。