資金決済法は、仮想通貨(仮想通貨交換業者)を取り締まる法律です。

2018年の日本の金融庁の動向をみると、7月現在では仮想通貨交換業の登録を新しく取得した企業は未だ一社もなく、これから新しく仮想通貨交換業の登録許可をクリアすることは非常に難易度が高いとみられています。

その結果、LINEやコインチェックは海外での取引所サービスを強化し始めるなど、日本の法律を避けたり、うまく利用して事業を展開する企業が増えているのも事実です。

本記事では、仮想通貨市場を取り巻く法律を理解することで、少しでも有益なブロジェクトへの投資に役立てていただきたいと考えています。





資金決済法とは

資金決済法とは、情報技術の発展により普及している「電子マネー」や「ブリペイトカード」「仮想通貨」などの資金決済システムを取り締まる法律です。

資金決済法は2010年4月1日に施行され、簡単にまとめると以下の3つによって構成されています。

資金決済法の主な内容
  • 前払式支払手段の発行
  • 銀行等以外の者が行う為替取引
  • 仮想通貨の交換等及び銀行等の間で生じた為替取引に係る債権債務の清算

上記項目の3番目にある「仮想通貨の交換等」については、2017年4月に資金決済法が改正された際に追加した内容となります。

資金決済法の細部(内閣府令)までご覧になりたい方は以下にある電子政府の総合窓口「e-Gov」のリンクから調べてみてください。

外部リンク:資金決済に関する法律

資金決済法による仮想通貨の定義(ガイドライン)

資金決済法では、「仮想通貨」を以下のように定義しています。

資金決済法第2条第5項

この法律において「仮想通貨」とは、次に掲げるものをいう。

1:物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値(電子機器その他の物に電子的方法により記録されているものに限り、本邦通貨及び外国通貨並びに通貨建資産を除く。次号において同じ。)であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの

2:不特定の者を相手方として前号に掲げるものと相互に交換を行うことができる財産的価値であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの

上記内容をまとめると以下のようになります。

仮想通貨の定義
  • 不特定多数の人々とインターネットを使って交換、売買できる
  • 財産的価値がある

もっと簡単に覚えるなら、「仮想通貨取引所に上場しているもの」を仮想通貨と呼ぶと覚えていただいても問題はありません。

重要なことは、SUICAなどの交通系ICカードや企業が発行するポイントや商品券は「仮想通貨」には該当しないということです。

理由は明確です。

交通系ICカードや企業が発行するポイントは限られた利用者しか使うことができません。

購入が出来たとしても、不特定の人に販売することも不可能ですし、商品券に限っては電子的に交換することができないため、仮想通貨には該当しないのです。


仮想通貨交換業の義務

資金決済法で定める「仮想通貨」に該当する商品を扱う場合は、必ず仮想通貨交換業としての義務が発生します。

資金決済法の改正により、仮想通貨交換業を運営する組織は以下の義務が課せられます。

    1:仮想通貨交換業は、内閣総理大臣の登録を受けた者でなければ、行ってはならない。
    2:内閣総理大臣の登録を受けるには、以下の内容を申請する必要がある。
  • 商号及び住所、営業所の所在地
  • 資本金の額
  • 代表者、取締役、監査役、会計参与の氏名
  • 取り扱う仮想通貨の名称
  • 仮想通貨交換業の内容及び方法
  • 他に事業を行っている場合、その事業の種類

    3:仮想通貨交換業者は、自己の名義をもって、他人に仮想通貨交換業を行わせてはならない。
    4:仮想通貨交換業に係る情報の漏えい、滅失又は毀損の防止その他の当該情報の安全管理のために必要な措置を講じなければならない。
    5:仮想通貨交換業の利用者の金銭又は仮想通貨を自己の金銭又は仮想通貨と分別して管理しなければならない。
    6:仮想通貨交換業に関する苦情処理措置及び紛争解決措置(機関を設置し、公表しなければならない)
    7:仮想通貨交換業者は、事業年度ごとに仮想通貨交換業に関し管理する利用者の金銭の額及び仮想通貨の数量その他これらの管理に関する報告書を作成し、内閣総理大臣に提出しなければならない。
    8:仮想通貨交換業の全部又は一部を廃止したときは、仮想通貨交換業者は、遅滞なく、内閣総理大臣に届け出なければならない。

上記規約を遵守出来ない運営組織は法律条のペナルティを受けることになります。

万が一、あなたが投資を検討している仮想通貨ブロジェクトにおいて、資金決済法でさだめる仮想通貨を扱っているにもかかわらず、仮想通貨交換業の規約に抵触しているのであれば、投資をするべきではありません。

金融庁からも仮想通貨利用者と仮想通貨に関連する事業を行う組織向けの注意喚起を、WEBサイトにて公表しています。

特に、利用者向けの情報にて、仮想通貨による不審な勧誘や詐欺に対しての注意を促すパンフレットは確認しておくといいでしょう。

外部リンク:仮想通貨の利用者のみなさまへ
外部リンク:仮想通貨に関連する事業を行うみなさまへ

ルールには、一部特例もあります。

マネックスに買収されたコインチェックは仮想通貨交換業を運営していますが、内閣総理大臣の登録を受けていません。

これは、資金決済法の改正前に仮想通貨交換業をすでに運営していたからです。

金融庁側も法改正前に運営されていたビットフライヤーやZaifについても仮想通貨交換業の運営を停止させることはありませんでした。


前払式支払手段による資金決済法

プリペイドカードやポイントなど、仮想通貨に該当しない決済手段でも資金決済法の規約を遵守する必要があります。

それは、資金決済法第3条で定義されている「前払式支払手段」という規約です。

前払式支払手段をすべて説明するとかなり眠くなってしまいますので、規約を簡単にまとめてみました。< /p>

前払式支払手段の定義
  • 未払残高の管理が必要
  • 使用期限が半年以上ある

未払残高(基準日未使用残高)の管理

前払式支払手段でサービスを提供する企業は未払残高(基準日未使用残高)を管理する必要があります。

未払残高(基準日未使用残高)とは、権利が行使されていないサービスの残高です。

例えば、1万円で商品券を買った直後の未払残高は1万円ですが、その後商品券3,000円分で買い物をした後の未払残高は7,000円となります。

前払式支払手段でサービスを提供する企業は、未払残高を管理するととにも、未払残高の50%を保管し、総額ととにも内閣政府に報告する必要があります。(ただし、未払残高が1,000万円以下の場合は不要)


半年以上の使用期限

万が一、サービスや商品券などの有効期限が6ヶ月以内に設定されている場合は、前払式支払手段による資金決済には該当しないので、内閣政府への届け出や報告は不要となります。


資金決済法をうまく利用した仮想通貨ブロジェクト

仮想通貨の定義では、「不特定の者に使用できる」という定義がありますが、これは利用者が限定的にであれば、仮想通貨には定義されないことを意味します。

この方法を利用した仮想通貨ブロジェクトをご紹介します。


ステーブルコイン「LCNEM」

前払式支払手段を使う仮想通貨プロジェクトとは、LCNEMという日本発の仮想通貨ブロジェクトです。

以前、当ブログでLCNEMの詳細について取り上げていますので、詳しくは以下の記事も参考にしてみてください。

関連記事:仮想通貨LCNEM:日本初の日本円ステーブルコインが販売開始

LCNEMはDAIやTether(USDT)のようなステーブルコイン(仮想通貨)を謳っていますが、他の仮想通貨と大きな違いがあります。

LCNEMの特徴まとめ
  • 日本円とLCNEMとの価値が1対1
  • LCNEMから日本円に換金不可能
  • kyashやアマゾンギフト券に換金できる

LCNEMは日本円で購入することが可能ですが、逆にLCNEMを日本円に換金(出金)することはできません。

LCNEMを換金する場合、日本円ではなく、同等の価値のあるkyashやアマゾンギフト券に換金可能にすることで、LCNEMの価値を保つという仕組みです。

LCNEMは、資金決済法が定める仮想通貨の定義に該当しないため、仮想通貨交換業の申請は不要という理解です。

なぜ該当しないかというと、仮想通貨は「不特定の人と購入および販売ができるもの」という取り決めがありますが、LCNEMは「不特定の人へ販売することができない」ため仮想通貨には該当しないのです。

これにより、LCNEMは仮想通貨交換業を申請することなく、日本人を対象にステーブルコインを販売することが可能ということになります。


仮想通貨ゲームと資金決済法

資金決済法のような法律が施行されているのは日本だけでありません。

各国がICOやETFなど仮想通貨に関連したライセンス規約をこれから作り上げていく予定です。

ビジネスチャンスをつかむために現法律に対応した仮想通貨を設計することが、成功への近道となる可能性があり、LCNEMが採用した資金決済法の捉え方、活用方法は今後様々なプロジェクトにも応用されていくことも考えられます。

特に相性がいいのがDappaゲームだと思います。

法定通貨への出金ができなくても、商品券やアマゾンギフト券などと交換できるだけでゲーム内の報酬としては十分に成立するからです。