仮想通貨は雑所得

2017年7月に国税庁からタックスアンサーが発表されるまで、仮想通貨にかかる税金は日本では設定されていませんでした。

タックスアンサーとは、国税庁が国民に対して税金の取り扱い方法を注意喚起するものです。

憲法や法律よりも効力は薄いですが、国税庁からの正式発表のため、ほぼほぼ今後の法律に組み込まれる可能性が極めて高い国からの命令となります。

仮想通貨に関わる税金については、2017年7月1日に2つのタックスアンサーが発表されました。

No.1524 ビットコインを使用することにより利益が生じた場合の課税関係

[平成29年4月1日現在法令等]

ビットコインは、物品の購入等に使用できるものですが、このビットコインを使用することで生じた利益は、所得税の課税対象となります。

このビットコインを使用することにより生じる損益(邦貨又は外貨との相対的な関係により認識される損益)は、事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、原則として、雑所得に区分されます。(所法27、35、36)

国税庁HPより引用


No.6201 非課税となる取引

消費税は、国内において事業者が事業として対価を得て行う取引を課税の対象としています。

しかし、これらの取引であっても消費に負担を求める税としての性格から課税の対象としてなじまないものや社会政策的配慮から、課税しない非課税取引が定められています。


    (3) 支払手段の譲渡(注)

銀行券、政府紙幣、小額紙幣、硬貨、小切手、約束手形などの譲渡。ただし、これらを収集品として譲渡する場合は非課税取引には当たりません。

(注) 平成29年7月1日以後、資金決済に関する法律第2条第5項に規定する仮想通貨の譲渡は非課税となります。

国税庁HPより引用


タックスアンサーを読んだだけでは、なかなか分かりづらいかもしれません。

タックスアンサーの要点をまとめると、以下の4つの行為で利益を発生させた場合その利益に対して課税金額が決まるということを意味しています。

    1.仮想通貨で物やサービスを購入
    2.仮想通貨を法定通貨(円やドル)に換金
    3.仮想通貨で他の仮想通貨を購入
    4.マイニングで仮想通貨を得る

ここで最も簡単なのは、2番目の「仮想通貨を法定通貨(円やドル)に換金」した場合です。

仮想通貨に10万円投資し100万円の利益を発生させた(総資産が110万円となる)場合、利益となった100万円に対して、課税されるということになります。

問題は、1番と3番です。

仮想通貨で商品(車両や不動産など)を購入した場合、仮想通貨購入時から商品を購入した時までに変動した相場分の利益額に応じて、納税する義務が発生します。

たとえば、100万円を仮想通貨に投資し価値が1,000万円まで上昇したところで、1,000万円の車を購入した場合、900万円の利益を得たと見なされ、900万円に対して納税の義務が発生します。

購入対象が商品でなくても、他の仮想通貨を購入した時も同様のロジックが発生します。


税区分「雑所得」とは

日本には「所得税」という徴税方法があります。

ただし、1つに所得税といっても、どのように所得を得たかによって区分がことなります。

区分は全10種類に分けれれます。

所得の種類
  • 利子所得:公社債や預貯金の利子、貸付信託や公社債投信の収益の分配などから生じる所得
  • 配当所得:株式の配当、証券投資信託の収益の分配、出資の剰余金の分配などから生じる所得
  • 不動産所得:不動産、土地の上に存する権利、船舶、航空機の貸付けなどから生じる所得
  • 事業所得:商業・工業・農業・漁業・自由業など、事業から生じる所得
  • 給与所得:給料・賞与などの所得
  • 退職所得:退職によって受ける所得
  • 山林所得:5年を超えて所有していた山林を伐採して売ったり、又は立木のまま売った所得
  • 譲渡所得:事業用の固定資産や家庭用の資産などを売った所得
  • 一時所得:クイズの賞金や満期保険金などの所得
  • 雑所得:年金や恩給などの公的年金等、非営業用貸金の利子、原稿料や印税、講演料などのように、他の9種類の所得のどれにも属さない所得

仮想通貨で得た利益の所得区分は「雑所得」に分類され、雑所得の形式に沿って納税を行う義務があります。


雑所得への課税金額

雑所得は1月1日から12月31日までの年間で得られた利益額を元に支払い額が算出されます。

支払わなければいけない金額はこちら。

雑所得への課税金額
    利益額195万円以下の税金額 = 利益額 × 15%
    利益額195万円~330万以下の税金額 = 利益額 × 20% - 97,500円
    利益額330万円~695万以下の税金額 = 利益額 × 30% - 427,500円
    利益額695万円~900万以下の税金額 = 利益額 × 33% - 636,000円
    利益額900万円~1,800万以下の税金額 = 利益額 × 43% - 1,536,000円
    利益額1,800万円~4,000万以下の税金額 = 利益額 × 50% - 2,796,000円
    利益額4,000万円以上の税金額 = 利益額 × 55% - 4,796,000円

※上記の税率は所得税率と住民税を合算してあります。


雑所得への課税は利益額に応じて計算方法が異なります。

例えば、1月1日から12月31日までの年間で得られた利益額が500万円だった場合は「利益額330万円~695万以下の税金額」に該当します。

計算方法は以下の通りです。

    500万円 × 30% - 427,500円 = 1,072,500円

500万円の利益額に対して、約108万円の税金を支払う必要があります。


学生の確定申告

勉強する学生

学生だから確定申告は必要ないと思っている方は超危険です。

結論から申し上げると、学生でも仮想通貨で一定以上の利益を上げた場合は、確定申告をしなければなりません。

これは国民の義務です。


給与所得と雑所得は別

他のブログ等や情報サイトでも「学生は103万円を超えたら○○」「130万円を超えたら○○」という記事を見ますが、これらはアルバイトなどで発生した給与所得に関する税金の知識になります。

仮想通貨での税金を考える場合には、これらの話は一旦忘れましょう。

理由は、簡単です。

重要ポイント

仮想通貨の所得区分は「雑所得」となり、アルバイトなど会社や組織から給与をもらう「給与所得」とは区別されているからです。


所得の区別を理解していないと、結局どの程度税金を払えばいいのか判断できなくなってしまいますので、十分に確認しておきましょう。

給与所得と雑所得では、金額に応じて支払う税額も全く異なるので要注意です。


雑所得の確定申告は自己申請

学生の場合でもアルバイトをしていれば、就労先の会社が年末調整とともに申告が義務付けられているため、案外いつのまにか給与所得分の確定申告が就労先の企業によって申告されていたりします。

仮想通貨の利益は雑所得に分類されますが、登録している仮想通貨取引所が確定申告を代行するプランなどは現状では存在しないため、基本自分で申告を進める必要があります。

ただし、年間の利益が20万円未満の場合確定申告は免除されますが、利益が20万円を超えた場合はいかなる状況においても確定申告の義務は発生し、学生も例外ではありません。

年間の利益が20万円を超えた場合は、以下の記事を参考にして確定申告を進めましょう。

関連記事:2019年仮想通貨で儲けた後の確定申告のやり方、必要書類と期間

日本の税金は高すぎる

仮想通貨の売却益に対してかかる税金の割合は、日本がダントツで高い状況です。

主要国の株式譲渡益課税
国名 課税の割合 備考
日本20%所得税15%+住民税5%
アメリカ0% or 15% or 20%37,650〜415,050ドル分が15%、それ以上に20%の税率が適応
イギリス18% or 28%アメリカ同様各レンジで税率が適応
ドイツ26.375%(内訳)所得税25%+連帯付加税
日本15〜55%雑所得として課税

上記に記載はありませんが、マレーシア、シンガポール、香港、パナマ、ドバイなどは、仮想通貨に関する税金が取られることはありません。

仮想通貨で儲けた利益から一円たりとも納税する義務がないということになります。

この状況が続けば、日本人で仮想通貨で稼ぐ場合は早々に海外の移住した方が得ということになります。

今後、日本の税制がかわることを願うばかりです。


節税対策

仮想通貨は年間の利益に対して、課税金額が決まります。

この仕組みを利用して、少しでも納税金額を減らす方法をご紹介します。


長期保有

長期保有するという事は、利確(現金化)せずに仮想通貨をもったまま放置しておくという事です。

仮想通貨は投資してから、仮想通貨として保有し続けている状態を保てば税金を支払う義務は発生しません。

2009年にビットコインを購入し、現在の仮想通貨資産が何億円になったとしてもビットコインとして1度も売買せずに保有し続けている以上は、その資産に対して税金は1円も支払う必要がないということです。

売買する必要がないのであれば、5年10年ずっと寝かせておくことも投資戦略の一つです。


含み損を利確

12月31日に近くなった時点で、「仮想通貨で得た利益額」「含み益」「含み損」の3項目を見直しましょう。

もし、仮想通貨で得た利益額が含み損より少ない場合、含み損を利確すえば、税金を支払う必要がなくなります。

それは含み損を利確することで、年間の仮想通貨で得た利益額合計が20万円を下回るからです。


たとえば、仮想通貨で得た利益額が500万円、含み損が600万円あった場合、本来この状態で12月31日を超えてしまうと、1,072,500円の納税義務が発生します。

しかし、600万円の含み損を利確することで、仮想通貨で得た利益額がマイナス100万円となるため、納税義務が発生しないということになります。


含み損を利確する場合は、投資先銘柄の将来性を十分に見極めてください。

投資した銘柄がこれ以上下がり続けるのか、もしくは来年以降上昇する可能性があるのかを十分に検討する必要があります。

これ以上あがらないと判断することも重要です。損切りをすることで未来に回せるお金が増えるからです。

含み損を利確し、含み益が出ている銘柄に再投資することも立派な投資戦略となります。