人気YouTuber「バフェット太郎」氏の動画

著書「バカでも稼げる米国高配当株投資」や投資ブログ「バフェット太郎の秘密のポートフォリオ」でも有名なバフェット太郎氏はYouTubeでも大変活躍されています。

私は2022年7月20日公開された「世界同時不況に備える金の卵!高配当株」という動画を拝見いたしました。



細かい内容は上記動画をご覧頂ければと思いますが、私が今回ピックアップしたい内容は以下の通りです。

【動画内でのバフェット太郎氏の主張】
  • S&500より高配当ETFの株価上昇が高い
  • 不況局面では高配当株が人気化する

弱気相場での高配当ETF投資は強い?

動画内では2020年末から2022年6月末までの期間において、VOO、VYM、HDV、SPYDの株価上昇率を比較されていました。

弱気相場であれば2022年初から現在7月まで、もしくは2020年1月から3月など、株価が大きく下がった時期でのパフォーマンスが気になりましたので、私なり各ETFの年間騰落率を調べてみました。

高配当ETFのパフォーマンス比較

株価が下がった局面は年間で見ると、2022年、2020年、2018年、2015年、2008年になります。

ただし、SPYDが設定されたのが2015年10月のため、比較できるのは2016年以降に起きた世界同時株安(2018年)、コロナショック(2020年)、ロシアーウクライナ侵攻期(2022年)の3回のみです。


2018年での比較

2018年時点では、VOOの騰落率が-4.42%なのに対して、VYMとSPYDがそれ以上に売り込まれ、HDVとVIGに関してはマイナス幅が2%台に止まりました。

翌年の騰落率を加味したとしても、2018年の下落相場に強かったのはHDVとVIGだったように思えます。


2020年での比較

2020年のコロナショックとその後の上昇相場を比較すると、VOOは18%も上昇したのに対して先ほど強かったHDVに加えて、SPYDとVYMが大きく負けています。

2018年と2020年を合わせて比較すると、VIGが健闘するものの、高配当ETFが「不況時に強い」という主張には疑問が残りそうです。


2022年での比較

2022年7月21日時点では、どのETFも年間リターンがマイナスに転落していますが、HDVが最もマイナス幅が小さく、SPYDとVYMがその後に続きます。

2016年から2022年7月までの合計の資産推移(分配金を含めたトータルリターン)を見れば、最も成長したのはVOOです。

【2016年~2022年7月までのリターン】
    HDV:+69%
    SPYD:+79%
    VYM:+86%
    VIG:+116%
    VOO:+118%

私個人の感覚として長期的な視点で見れば、高配当ETFよりS&P500に連動するETFの方が平常時も不況時にも強いと言えると思います。

ただし、「資産の上昇率よりもインカムゲインの方が大切」と考える投資家にとってはVYMやSPYDのパフォーマンスも魅力的に見えるはずです。

どのような資産形成をゴールとするかは投資家次第ですので、何かの参考になれば幸いです。


高配当ETFへ資産流入してる?

バフェット太郎氏の解説では「不況局面では高配当株が人気化する」と説明されていましたので、ETF.comのデータを元に各年の資産流入量を調べて見ました。

高配当ETFの資産流出入

資金流入の絶対量はVOOが圧倒的に多いのですが、2018年以降の変化率を見ると、2022年はHDVへの資金流入が異常に進んでいることがわかります。

2012年以降の流入額を見ても直近が異常値であることは明確です。

HDV Fund Flows Charts
出典:ETF Datebase

またSPYDもVYMも2021年、2022年の資金流入が大きく増えており、VIGとVOOに関しては2021年以降資金流入の勢いが弱まっています。

ただし、毎回の弱気相場で高配当株が人気化するのではなく、2020年のコロナショック時のように資産が流出してしまう場合もありますので「弱気相場=高配当株投資」と盲信することはできません。

2022年以降弱気相場では、高配当ETFは既に人気化していると言えそうです。