従業員より株主優遇

日本企業は売上こそ減っているものの企業利益と配当金を長期的に伸ばしてきた経緯があります。

当期純利益等の推移
出典:日本証券業協会

しかし、営業利益が上がっているにも関わらず、人件費は増加しません。

配当金と人件費の推移
出典:日本証券業協会

株主還元である配当金は1997年から2020年までに6倍以上に膨れ上がっているのに対して、人件費は横ばい(微減)となっています。

金額に直すと、配当金は17兆円も上がっているのに対して、人件費を含む販売費および一般管理費は2兆円のプラスですが、人件費はマイナス2兆円となっています。

売上と利益の変移
売上と人件費の変移
出典:日本証券業協会

ここまでのデータを見ると、日本では従業員としての立場よりも投資家(株主)としての立場が優遇されており、いかに投資家側にもポジションを広げていけるかが、大きな課題として考えられます。


欧米との比較

欧米と日本の株主還元の内訳を比較すると、欧米の割合の高さに驚くはずです。

株主還元の内訳
出典:日本証券業協会

日本の株主は海外に比べると、まだまだ冷遇されており、海外株へ投資するほど株主還元の恩恵を受けやすい傾向にあります。

その結果として、世界の株式時価総額は米国に偏っていますし、株価の人気を表すPERも米国の方が高い傾向となっています。