真水(まみず)とは?

真水(まみず)とは、政府予算の中で、GDP(国内総生産)の増加が期待できる予算額のことを意味します。

具体的な真水の例は以下の通り。

【真水と言われる予算案】
  • 公共事業
  • 給付金(返済義務がないもの)
  • 減税

上記に使われるお金は国民の雇用や給与、個人消費に大きく影響するものです。

コロナ禍においてはGoToキャンペーンや10万円給付、飲食事業者への給付金などが真水に該当する部分となりました。


対して、GDPに影響を与えにくい予算案の例は以下の通りです。

【真水に含まれない予算案】
  • 融資(返済義務があるお金)
  • 税金の支払い猶予
  • 社会保険料の猶予

厳密な定義はありませんが、返済義務が伴う銀行からの融資は無利子であっても返済義務が発生してしまえば、真水とは呼べません。

社会保険料や税金などの支払いを遅らせることも、最終的には国民からお金を奪ってしまうため、真水対策にはなりません。


真水が少ない予算案

私たちの税金や国債発行によって捻出されたお金は「政府予算(一般会計予算、特別予算、補正予算など)」として利用されます。

政府予算全体の金額は「事業規模」と言われ、その中でも金融機関の融資を引いた予算を「財政支出(国や地方の支出に加えて、国からの貸付金などが含まれた予算)」と呼んでいます。


真水とは、その財政支出の中でも、さらに細かく区分されたものを意味しますが、政府は経済対策予算をアピールする際、「事業規模」の金額をメディアで露出することがほとんどです。

政府が発表している予算額を鵜呑みにしてしまうと、実際はGDPに還元される予算案が少ない場合もありえます。

私たち国民は政府が立てた予算案の中で、真水部分がどのぐらいの割合入っているかを見極めなければいけません。


ニッセイ基礎研究所のレポートによれば、過去の経済対策において、真水部分はそれほど多くはありません。

過去の経済対策
出典:ニッセイ基礎研究所

コロナ禍において、最も真水の多い経済対策を行った国は「米国」です。

各国の財政支出
出典:日本総研

世界一の経済大国である米国政府が最も多く国債を発行し、真水割合の多い強い経済対策を行うことによって、他の国との経済格差は広がるばかりでしょう。


GDPの内訳

最後に国の経済規模を表す「GDP(国内総生産)」について、説明します。

GDPの中身を区分すると、以下の要素に分けることができます。

【GDPの4つの要素】
  • 個人消費(民間最終消費支出)
  • 政府支出(政府最終消費支出)
  • 総資本形成(公共事業や民間の設備投資など)
  • 純輸出(=輸出 - 輸入)

上記を全て足したものがGDPの数値として表されます。

GDPの約6割を占めるのが個人消費となり、政府の財政支出は2割程度です。

この2割程度の財政支出に加味される予算が「真水」となります。

真水が増えれば、GDPが押し上げられ、GDPが上がれば、国内の消費が活発になり、企業の売上や国民の給料が上がりやすくなるというカラクリです。


ロシアとウクライナの戦争により原油需要が上がり、ガソリンや電気代が高騰する今。

日本国民としては原子力発電所の再開、ガソリン税や消費税の減税、生活困窮者への給付金など、真水対策が期待されるばかりです。

日本政府が国民の消費需要を助けるために、どの程度のお金を市場に還元することが出来るのかを、今後も注視していく必要があると思います。