戦争が株価に与える影響

昨日ロシアがウクライナへ侵攻したことにより、ロシアのRTS指数が暴落、原油と金も反応して急上昇したと思いきや、相場は急反発。

NASDAQは前日比+3.34%、S&P500もRussell2000もプラスで着地しました。

寄り付き(開始された値段)が安過ぎるた?のか、各指数全く下がることなく、むしろ価格がどんどん上がっていくことにより、空売り(ショート)を入れていた投資家が損失をカバーするために、買い注文を入れたことでさらに相場が上昇したという結果だと予想されます。

S&P500ETFの代表格であるSPYの株価を見ても、一昨日前の安値$421.35を抜けた瞬間に相場が急上昇しているのが確認できます。

SPYチャート
出典:tradingview

戦争が引き金になって相場が混乱することは多いのか、少ないのかが気になりましたので、過去の相場を見ていきたいと思います。


アフガニスタン紛争で起きたこと

今回は米国が関わっていた戦争の1つであるアフガニスタン紛争で調べてみたいと思います。

アフガニスタン紛争はアメリカの貿易センタービルに旅客機2機が突入したアメリカ同時多発テ事件「9.11」をキッカケにして始まった戦争と言われています。

【アフガニスタン戦争とは】
    アフガニスタン紛争とは、2001年から2021年にかけてアフガニスタン・イスラム共和国で起きた紛争。アメリカ合衆国を中心とする連合軍とタリバンとの19年10か月に及ぶ戦闘の後、タリバンが政権を回復することで終結。

2005年までに起きた主要な出来事を整理すると以下のようになります。


アフガニスタン紛争の主要な出来事
年月 内容
2001年9月米国同時多発テロ
2001年10月有志連合諸国が空爆を開始
2001年11月同盟軍が首都カーブルを制圧
2002年3月アナコンダ作戦
2002年6月カルザーイを大統領とするアフガニスタン・イスラム移行政府が成立
2003年8月ISAFの指揮権をNATOへ委譲
2004年1月アフガニスタン憲法が成立
2004年12月アフガニスタン・イスラム共和国が正式に成立


戦争と株価の関係

次は戦争中の出来事と株価を確認するため、2000年1月から2005年12月までのS&P500の株価、金価格、原油価格のチャートを作成しました。

アフガニスタン戦争と株価


S&P500は2000年以降発生したドットコムバブル(ITバブル)の影響で下落傾向となっていましたが、同時多発テロが起きた月は2000年1月と比べて、-25%の水準まで株価が下がります。

同時に原油価格がたった3ヶ月で-30%まで下落し、元の水準に戻るまでに半年(2001年9月〜2002年3月)もかかりました。

その間、最も資産価値が安定していたのは金価格です。

軍事的な出来事が様々起きる中でも金価格は常に上昇し続け、当時は安全資産としての地位を確立していると言えます。


同時期でのドル円価格についても調べてみました。

アフガニスタン戦争と円相場


安全資産として知られる円ですが、同時多発テロが起きた2001年9月から2002年1月までは円安傾向となり、その後、アナコンダ作戦が開始された辺りから2004年12月まで一気に円高に振れる結果となります。


今後、ロシアがウクライナを侵攻するにあたり、同様の結果が得られるわけではありません。

ですが、1つの参考になるのではないかと思います。


米国は常に戦争してきた

米国が関わってきた戦争の歴史を確認すると、戦争をしてない期間の方が少ないことがわかります。

ダウ平均と米国が関わった戦争


1915年から2022年までの107年間で米国が関わった戦争が始まった年は26回でした。

そのうち、年間リターンがマイナスになった年はたったの8回。


戦争が始まった回数、そのうち株価がマイナス成長になった年の回数
年代 戦争回数 下落回数
1910年代4回2回
1920年代1回1回
1930年代0回0回
1940年代2回1回
1950年代2回0回
1960年代2回1回
1970年代0回0回
1980年代3回0回
1990年代5回1回
2000年代4回1回
2010年代3回1回
合計26回8回

戦争が始まった回数に対して、下落相場になった回数が多いのは1910年代が4回に2回で発生確率50%、1920年代は100%、1940年代と1960年代も50%となり、昔ほど戦争になると株価は下がる傾向にあると思われます。

しかし、1980年代以降となると下落相場の発生確率は3回中0回や5回中1回など、戦争と株価の相関関係は薄れているような気がします。

今後、ロシア軍がウクライナへ侵攻することにより相場は揺れ動くはずですが、それは短期的な視点です。

長期的な視点を見失わずに投資を続けていきましょう。