積立投資とは

積立投資とは、郵便貯金のように毎月一定額を継続(積立)して同じ投資先に投資する手法を意味します。

海外では投資の研究が進んでおり、積立投資のことをDoller Cost Averaging(ドル・コスト平均法)もしくは、Pound Cost Averaging(ポンド・コスト平均法)とも言われており、様々なメリットがあることが分かっています。


積立投資のメリット

積立投資のメリットの1つ目は「価格変動幅(ボラティリティ)が小さくなる」ことです。

例えば、価格変動幅が±100%も変動する投資先があった場合、一括投資であれば投資した資産価格は±100%ズレるわけですが、積立投資をすれば資産の変動幅が±95%だったり、±90%と資産価値の変動幅が小さくなっていきます。


同じことを少し詳しく説明しますと、以下のように価格が変動する投資先に対して、積立投資をした場合と一括投資をした場合でどのぐらい資産の変動幅があるか検証してみたいと思います。

積立投資の効果


まずは毎月1万円ずつを4ヶ月間積立投資をした場合の資産評価額を計算してみました。

「積立」投資の結果
項目 1ヶ月目 2ヶ月目 3ヶ月目 4ヶ月目
1口価格100円120円50円40円
投資金額1万円1万円1万円1万円
購入口数100口83口200口250口
累計口数100口183口383口633口
評価額10,000円21,960円19,150円25,320円

積立投資の最終損益(4ヶ月目)は4万円の投資に対して、資産評価額25,320円となりましたので、運用結果は-14,680円となりました。

では次に、1月目で4万円全額一括投資をした場合、積立投資に比べて4ヶ月目の資産評価額がどの程度変わるのかを見ていきます。


「一括」投資の結果
項目 1ヶ月目 2ヶ月目 3ヶ月目 4ヶ月目
1口価格100円120円50円40円
投資金額4万円0円0円0円
購入枚数400口0口0口0口
累計口数400口400口400口400口
評価額40,000円48,000円20,000円16,000円

一括投資をした場合の運用結果は、-24,000円となりました。

積立投資の結果(-14,680円)と比べると、マイナス幅が9,320円も大きくなっています。

つまり、全く同じ値動きをする投資先に対して、積立投資と一括投資それぞれの投資方法で挑んだ場合、積立投資の方が価格変動幅が小さくなるということが証明できたと思います。

積立投資はプラスマイナスどちらの価格変動幅も小さくしてしまいますが、マイナス幅が抑えられる分だけ安心して価格推移を見届けることができますし、何より投資を継続しやすくなることが大きなメリットです(投資はマイナス幅が大きくなると、どうしても辞めたくなってしまうんです)。


その他にも、積立投資は毎月決まった金額を投資するので、投資する時期を分析したり、タイミングを読む必要がないというメリットがあります。

また毎月投資をするので、一時的に価格が高くなったとしても、その後低い価格で購入すれば取得単価は平均化されていく仕組みとなるため、極端な高値づかみをしてしまうリスクはとても低くなります。

逆に、一括投資は価格が高いところで買ってしまうと大損につながりますし、積立投資に比べてハイリスク・ハイリターンです。

【積立投資のメリット まとめ】
  • 価格変動幅が小さくなる
  • 投資時期を分析しなくて良い

積立投資のデメリット

積立投資のデメリットの1つ目は「取引手数料がネックになる」ことです。

毎月決まった一定額を積み立てるため、取引手数料(もしくは約定手数料)がかかる投資先は投資回数が多くなる分、手数料が嵩んでしまい、投資家の利益が圧迫されてしまいます。

最近では、VTIやQQQ、AGGなど米国ETFが人気です。

一部取引手数料無料の銘柄もありますが、米国株および米国ETFを積立投資する場合は22ドルを上限にして0.45%の約定手数料が発生します。

一括投資であれば手数料は1度しかかかりませんし、1回の取引が4,888ドル(約56万円)以上であれば4,888ドル以上の上振れ分については0.45%の手数料は発生しません。

ですが、積立投資の場合は毎回手数料を取られてしまうので、本来投資に使えるお金も手数料で搾取されてしまいます。


VOOやVYMなど人気のETFに対して積立投資を否定しているものでは全くありません。

もし対象銘柄に取引手数料が設定されている銘柄の場合は、そのような点も理解しておく必要があります。


なお、ネット証券では買付時の手数料が無料でも、売却時の約定手数料は無料ではないことがよくあります。

積立投資をするような銘柄を解約するときは、定額引き落としなどを使うはずです。

その場合も手数料を多く払いすぎないように注意しておきましょう。


積立投資のデメリット2

もう一つ、積立投資のデメリットは「大きなリターンを見込めない」ことがあります。

基本的に右肩上がりの銘柄で積立投資と一括投資の利益額を検証すると、圧倒的に一括投資の方が儲かる結果になります。

ですので、株価が明らかに安いとわかる場合や10年に1回くるかどうかの株価大暴落が起きた場合は一括投資の方が相当儲かりますし、積立投資は大きな機会損失を起こしてしまいます。


ですが、基本的にメリットとデメリットは表裏一体です。

大きなリターンが見込めない代わりに損失リスクも少なくなるので、私は全然気になりません。

どんなに知識がある人でも未来の株価を読むことはできないので、株価が確実に右肩上がりになると分かっている場合を除いて、タイミングを狙わずに積立投資を継続する方が長期的に運用できるなどの効果で結果として儲かっている場合が多いはずです。


【積立投資のデメリット まとめ】
  • 取引手数料がネック(売却時も注意)
  • 大きなリターンを見込めない

おすすめの投資先

「積立投資と一括投資」結局どっちが良いの?と対立構造を生むような議論が生まれることがありますが、投資先によって使い分けていくのも1つだと思います。

つみたてNISAのように買付時も売却時も取引手数料が無料になる場合は、積立投資で投資時期も分散(高値づかみを回避)しつつ、少額から投資をスタートしていく方が賢明です(株価暴落が来た場合など、ものすごい自信がある場合は一括投資もお勧めですが、基本的には積立投資が賢明です)。

銘柄については、以下の記事をご覧下さい。


上記に記載のあるつみたてNISA対象銘柄(投資信託)は、配当金を自動で再投資してくれます。

自動再投資のメリットは、分配金にかかる税金や取引手数料を削減することができるので、おすすめです。


対して、ライフサイクルで言えば成長期を過ぎて成熟期に入っているような銘柄、売却益よりも配当や利子で稼ぐ銘柄に投資をする場合は、価格が安い時に一括投資を狙うと高いレベルで安定的な収入が見込めるようになるはずです。

ただし、積立投資と違ってタイミングを読む必要があるので、投資レベルが飛躍的に難しくなることは忘れないでください。

また、分配金にも税金はかかりますし、再投資すれば手数料もかかります。