投資始めたいけど、どのぐらいの資産を投資に回せば良いのかわかない。

年代によって変えるべきなのか?とりあえず100万円あれば十分なのか?など、色々考えてしまうはずです。

今回は、投資を始めるにあたって「最適な現金と投資の割合」について解説していきます。

是非、最後までお読み頂けると嬉しいです。


現金比率 = 年齢

投資と貯金の割合を考える際、最も有名な方法。

それは「現金比率 = 年齢」という考え方です。

たとえば、30歳で100万円の貯金がある場合、100万円の30%である30万円を手元に残して、70万円を投資するという考え方になります。

繰り返しますが、40歳で200万円の貯金なら投資額は120万円となり、50歳で300万円の貯金なら150万円分を投資に回すという全体の保有資産に対して現金で貯金する金額の割合が年齢とイコールになるのが、現金比率 = 年齢という考え方です。


現金比率 = 年齢のメリット

現金比率 = 年齢という考え方には、年齢が高くなるにつれて現金割合が高くなっていくため、株価暴落の影響で資産を無くしてしまうリスクを減らしていけるメリットがあります。

20代、30代など労働で投資資金を生み出せるうちは、仮に投資で失敗したとしても必要な金額を40代、50代の労働収入で補填することができますが、50代、60代で投資に失敗してしまうと、労働収入で投資の損失を補填することは相当難しくなります。

「現金比率 = 年齢」という考え方は、年齢を重ねるごとに投資リスクを抑えるための方法として有効です。


現金比率 = 年齢のデメリット

「現金比率 = 年齢」という考え方は、投資家の性格や家族構成、借金の有無など個別の状況を考慮しません。

一般的に20代と言っても、月間で10万円ずつ貯金できる人もいれば、養育費や親への仕送りなどで貯金が全くできない家庭もあります。

そういう状況下で、一概に20歳であれば現金を20%を残して全額投資してOKというのは、ちょっと無謀すぎると私は考えてしまいます。


たとえば人気YouTuberとして有名な中田敦彦さんの現金30%と、一般会社員の現金30%では金額が全く異なりますし、同じ状況になるはずがありません。

現金比率 = 年齢という考えには、そういうリスクもあることをご理解頂きたいです。


投資割合は支出次第

私が信じている現金比率の最適解は「支出を軸に考える」です。

毎月の生活費や趣味にかかる費用、医療費など、支出額は人それぞれです。

自分の支出額を参考にしながら、手元にいくらあれば毎日の生活が守れるのか、無理のない範囲で投資が続けられるかを考える方が最も自分自身にあった現金比率を見つけることができるはず。

支出が多い方は投資額を控えめに、支出が少なく貯金ばかりしてしまう人は比較的大きい割合で投資をしていくことができます。


では、具体的にどのように計算すれば良いのかを、説明していきます。

まずは以下のように、エクセルにご自身の年齢、想定される年間の支出額、年収(手取り)を入力してください。

家計収支の入力

年齢は日本の平均寿命である83歳までを入力し、支出額は生活費だけでなく結婚式や出産、不動産購入など想定されるイベントも仮で考慮しながら入力していきましょう。

上記画像の支出は平均的な日本人家庭の支出額+家賃と出産費、住宅ローンしか入力していません。人によっては趣味代や第二子、第三子のご予定がある家族もいるでしょうし、結婚式や親の介護などの大きな支出がある人もいるかもしれません。日本人の平均寿命である83歳まで想像できる範囲で支出を全て書き込んで下さい。

ちなみに年収も日本人の年齢別の平均年収を入力していますが、現在勤めている業界の収入相場などを参考に仮で入力してください。


全部入力し終わりましたら、年間貯金額(= 年収 - 支出額)と支出額をグラフ化してみましょう。

支出と貯金額の推移

グラフにすることによって、年間支出額と同等額を貯金できない期間や必要以上に貯金が増えてしまう時期が一目でわかるようになります。

世帯によってグラフの形は様々だと思いますが、今回私が入力したデータでは、最も苦しいのは二人暮らしと住宅ローンを開始した30歳から第一子の養育が終了する50歳までの間です。

この期間は年間支出額を表す赤い線を貯金額である青い棒グラフが上回らず、貯金に余裕がほとんどありません。

ただし、50歳を超えると趣味代や大きな病気などで支出がなければ、急激にお金が貯蓄されていく計算です。

この時期にはだいぶ余裕ができるため、赤いラインを超えた部分について投資に資産を動かしていくべきだと思います。


投資額のルール

ある程度のライフプランと年齢ごとの支出額、貯金額がわかれば、次は投資額を算出するだけです。

投資額の計算方法は以下の通りです。

    投資額 = 貯金額 - 年間支出額

上記の通り、12ヶ月分の生活費以外の貯金は全て投資に回すというルールが良いと私は思います。


「なぜ12ヶ月分の生活費なのか」という理由は、簡単です。

万が一、仕事がなくなってしまった時や病気で入院してしまった場合など、収入が途絶えるような事態が起こってしまった際、1年間暮らせる余裕資金があれば、その1年間で仕事に復帰したり、体を回復させるなどの時間として十分だと考えるからです。

ですが、人によっては1年間では短すぎる。もしくは、長すぎると感じてしまう人もいると思います。

その場合は、ご自身の状況に応じて計算式を調整してください。

万が一のことが起こっても半年分の生活費があれば問題ないと思う方であれば、計算式は以下のようになるはずです。

    投資額 = 貯金額 - 半年分の支出額

逆に休息期間は2年間ほしいと考える人であれば、計算式は以下のようになります。

    投資額 = 貯金額 -(年間支出額 × 2)

このルールを守りながら投資をすることができれば、万が一投資で失敗した場合、病気や怪我で収入がなくなってしまった場合でも、今の生活を維持しながら生活し続けることができるので、精神的な部分でも安定していくはずです。


日本の平均貯金額

先ほどエクセルに入力した貯金額は20代平均が228万円、30代で253万円、40代で234万円、50代で1,119万円という推移でしたが、日本人の平均値(中央値)を見ると、もう少し高い貯金額となっています。

年齢別の平均貯金額(中央値)
年代 単身世帯 2人以上世帯
20代81万円235万円
30代206万円423万円
40代400万円686万円
50代622万円1,000万円
60代860万円1,465万円

実際の生活においては、私が先ほど入力した年収よりも高い年収の人が多い(もしくは生活費が少ない世帯が多い)ということになるはずです。

生活費1年分を貯金できていない場合は無理に投資をする必要はありませんが、年間支出以上の貯金があり、収入も安定的なのであれば、上振れ分については毎月積み立てなどで少しずつ投資をしていくのが賢明だと思います。


世界の投資比率

以下の資料を見ると、日本人は欧米に比べて貯金比率が高過ぎるために、家計資産が増えていないことがわかります。

日米の家計金融資産
出典:日興アセットマネジメント

日本は家計資産の約半分を現金で保有するのに対して、米国では現金はたった15.9%のみ。

全体資産の48%も株式や投資信託で保有しているので、2000年から2020年までの家計資産は3.2倍にまで膨れ上がっています。

その間、現金資産が多い日本人の資産は1.4倍にしか増えていません。


たとえば、40歳で現金600万円、株式や保険など他の金融資産でも600万円、合計1,200万円の資産を保有していたと想像してみてください。

先ほどのデータを参照すれば、日本人のやり方で20年間過ごすと家計資産は1,200万円から1,680万円(1.4倍)に増やすことができますが、米国と同じやり方にしてみると1,200万円は3,840万円(3.2倍)にもなる計算です。

同じ給料で同じ資産を保有しているはずが、現金と投資の割合を調整するだけで、これほどの資産差が出てしまうのは驚きだと思います。

無理に投資を始める必要はありませんが、現金を持ちすぎていると将来の資産が減ってしまう可能性も考えておくべきです。