大学ファンドとは?

2021年11月19日、政府は18歳以下への10万円給付や成長戦略等を組み入れた55.7兆円の経済政策を閣議決定しました。

    <経済対策55.7兆円の内訳>
    22.1兆円:コロナ感染防止
    9.2兆円:コロナ渦の危機管理
    19.8兆円:成長と分配戦略
    4.6兆円:防災、減災

この予算案の中には、大学ファンドと言って文部科学省が進める10兆円規模の基金創設予算も組み込まれているのはご存知でしょうか。

大学ファンドとは、様々な研究を進める大学への投資資金を捻出するための公的基金。

文部科学省の資料には、以下のように説明されています。

大学ファンドは、次の考え方のもと創設し、運用開始する予定
  • 国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)にファンドを設置
  • 政府出資0.5兆円(2020年度第3次補正予算案)に加えて、財政融資資金4兆円 (2021年度財政投融資 計画案)を元本として運用開始(ファンドの期限50年)
  • 早期に10兆円規模の運用元本形成を目指す
  • 財政融資資金については、20年後を目途に今後の対応を検討することとし、融通条件(40年償還 (うち据置期間20年)、元金均等償還)に沿って、順次約定償還

なんや難しい文章がつらつらと並んでいますが「年間3,000億円程度を大学の研究や学生支援などに分配できる10兆円ファンド」を2022年度以降に運用したいということですね。

大学ファンドのスケジュール
参照元:文部科学省


2022年度実績

2021年11月時点では運用開始5年程度は株式65%、債券35%のポーフォフォリオで運用されると報道されていましたが、実際フタを開けてみると債券比率が高すぎてビックリ。。。という感じです。

運用結果は以下の通り604億円の赤字となります。

    運用資産:9兆9,644億円
    収益額:-604億円(元本比-0.6%)
    当期総利益:+742億円
    評価差額:-1,259億円
    収益率:-2.2%

大学ファンド
出典:科学技術振興機構

ちなみに、あくまでちなみにですが日本の年金を運用するGPIFの2022年度の収益率は+1.5%となり、約2.9兆円も稼いでいます。同じ時期に(笑)

GPIF
出典:GPIF

大学ファンドもGPIFを見習って頑張ってほしいですし、学生や研究を支援するため早くプラスの収益を生み出してほしいです。


海外では当たり前

このような考え方は、海外の優秀な大学では昔から実施されています(日本は結構遅い方。。。)

米国ハーバード大学は金融資産の維持を目的に1974年にハーバード・マネジメント・カンパニー(HMC)という資産運用会社を創設しています。

現在、HMCの年間収益率は11%もあり、2021年6月30日時点での資産価値は532億ドル(約6兆円)規模となっています。

さらには20億ドル(約2,282億円)以上の予算を大学に分配しているとのこと。

だから優秀な学生は学費無料とか、数々の先進的な研究に投資できるわけですね。お見事です。

以下は2021年6月末時点での年初来リターンとなります。

Harvard Management Company 2021 Performance
参照元:Harvard Management Company

他にもイェール大学など、海外の大学ではファンドを作って学生を支援する制度があります。

日本は海外よりもだいぶ遅れて、こういう仕組みを実行できた?というわけです。


公的基金のメリットとは?

大学の教育支援や研究開発へ投資をしようと思うと、結果が出るまでに5年、10年かかりますし、投資費用を回収しようと思うと、10年、20年以上の長期スパンで物事を見る必要が出てきます。

もしくは、投資金額が回収できないということも珍しくはないはずです。

そういうことに税金を使うのであれば、自律的に予算を生み出してくれる存在を作りつつ、お金を稼ぎながら投資も行なっていく方が税金的にも効率が良いと思います。


海外ではポランティアなどの活動も基金によって運営されることがあります。

有名なところで言えば、ビル&メリンダ・ゲイツ財団

離婚報道もありましたが、マイクロソフト元会長のビル・ゲイツ氏と元妻であったメリンダ氏によって2000年に創設された世界最大の慈善基金団体です。

発展途上国の貧困問題やワクチン開発、米国内での教育システムへの投資を行う同財団は2020年12月31日時点で約519億ドルの資産を管理しています。

ビルメリンダ財団
参照元:Bill&MelindaGatesFoundation

個人も基金は必要

ちょっと横道はそれますが、FIRE(早期リタイア)ムーブメントも同じような考えがあると思います。

家族との時間、趣味への投資など将来のやりたい事というのは、いつ稼げるかもわかりませんし、もしかすると一生稼げない可能性もあります。

でも価値ある時間を過ごすためには生活を経済的に支えるプログラムが必要です。


個人であっても国であっても基金が無理なく用意できるのであれば、投資によるキャッシュフローが生まれることは理想ですし、高齢者の年金だけでなく、ベーシックインカムのような制度を必要とする若者も多い気がします。


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