金融所得課税の強化や住宅ローンの控除率引き下げなど、増税案が相次いでいる自民党を批判するように、SNSでは増税に関するツイートの反響が広がっています。
コロナも終息し、今まで耐えて協力してくれた国民には心から感謝です。それでは増税しますね。 pic.twitter.com/cyeKohj80h
— 総合商社マン (@sogoshoshaman) November 18, 2021
お子さんがいらっしゃって大変ですね。
— 花ちゃん⌘米食投資家 (@qnpkouACyYClj74) November 18, 2021
増税しますね。 pic.twitter.com/sjAgAqhfa3
年収1000万円ですか?
— 信太郎🏯オニール流投資で再び天下を狙う (@nobutaro_mane) November 18, 2021
私の月収より遥かに安いですね。東京で暮らしてくの辛いでしょう。
増税しますね。 pic.twitter.com/90gpREIfpI
しりとりしませんか?
— 毛根女子 (@moukon_genius) November 19, 2021
じゃあ私から行きますね
「増税」 pic.twitter.com/osIYzdYwB0
めっちゃ増税するやん、あいつw pic.twitter.com/OF0yHV4KLY
— うら💵多趣味投資家Lv3🐥 (@Lv397545729) November 18, 2021
SNSでは、大喜利のような感じになっていますが、今後は55.7兆円の経済対策が閣議決定されたことにより、増税ブームは進められやすくなるはずです。。。悲しいですが。
<経済対策55.7兆円の内訳>
— Gaz(ガズ)@資産運用ブロガー (@gazooblog) November 19, 2021
22.1兆円:コロナ感染防止
9.2兆円:コロナ渦の危機管理
19.8兆円:成長と分配戦略
4.6兆円:防災、減災
期待が持てるような施策がたくさんありますので、早急に実施して経済を立て直して欲しいです。遅れるとさらにお金も必要になりますから。https://t.co/MAegHVE7MF pic.twitter.com/xyAkSisqqO
経済が冷え込む中での増税はとても危険なように思います。
日本は借金大国
増税の話題になると「日本の借金は世界一」という話題が持ち出されると思います。
たしかに、日本政府の金融負債残高は1,400兆円程度もあります。
参照元:財務省世界中の国々と総負債残高(対GDP比)を比べると、2020年では世界3位です。
国名 | 債務残高対GDP比 |
ベネズエラ | 304% |
スーダン | 272% |
日本 | 254% |
ギリシャ | 211% |
エリトリア | 184% |
カーボヴェルデ | 158% |
バルバドス | 156% |
イタリア | 155% |
シンガポール | 154% |
レバノン | 150% |
ちなみに、米国の総負債残高(対GDP比)は133%で世界15位、イギリスは104%(世界30位)となっています。
国の経済規模に対して、借金総額が多い日本が借金大国と言われる所以です。
だからこそ日本は「借金を返済するために増税はいたしかたない」と考えられますが、それは1つの側面でしかなく、必ずしも正解ではないと思います。
対外純資産は世界一
そう考える理由は政府が持っている金融資産です。
日本銀行の資金循環統計を見ると、2021年2Q(4月〜6月期)の資産残高は703兆円です。
今からおよそ42年前となる1979年時点での政府が保有する金融資産残高は100兆円程度でした。
そこからリーマンショック時点では一旦下がるものの、基本的には右肩上がりで703兆円まで資産が増え続けています。
2021年2Q時点での資産構成(703兆円の内訳)を見てみると、多くは株式等の証券であることがわかります。
金融商品 | 割合 |
対外証券 | 36.1% |
株式、投資信託受益証券 | 24.3% |
現金、預金 | 15.4% |
債務証券 | 10.3% |
対外債務 | 3.7% |
その他 | 10.2% |
合計 | 100% |
注目するべきは、対外資産および対外純資産です。
対外純資産とは、保有する外国資産から負債を差し引いたもので、主に外貨準備金や海外の銀行や企業への投資資金を意味します。
日本はこの対外純資産の規模が直近30年間以上、世界1位となっています。
財務省HPを見ると、過去の対外純資産の推移を確認することができます。
年度 | 資産 | 負債 | 純資産 |
平成24年末 | 658,927 | 359,625 | 299,302 |
平成25年末 | 797,686 | 471,955 | 325,732 |
平成26年末 | 930,496 | 579,382 | 351,114 |
平成27年末 | 938,398 | 611,209 | 327,189 |
平成28年末 | 986,289 | 649,982 | 336,306 |
平成29年末 | 1,013,364 | 684,062 | 329,302 |
平成30年末 | 1,018,047 | 676,597 | 341,450 |
令和元年末 | 1,090,549 | 733,534 | 357,015 |
令和2年末 | 1,146,126 | 789,156 | 356,970 |
対外純資産は米ドルなど円以外の資産となります。
万が一、円が暴落した場合でも円の価値を下支えしたり、円の価値を担保するためのリスクヘッジになるので、対外純資産が多い国は独自通貨を発行する国にとっての信用の裏付けになります。
だからというわけではありませんが、今後さらに国の借金が増えたとしても日本の経済が破綻するということは考えにくいとされています。
すぐに増税をしなければいけない、というわけではないと思います。
家計の金融資産も世界2位
ちょっと横道を逸れるかもしれませんが、日本は家計資産もかなりの額を持っています。
1世帯あたりの平均資産額は1,000万円(中央値だと400万円程度)を超えており、米国に次ぐ世界2位です。
本来は国の借金と国民の資産は比較するものでありませんが、日本の家計資産は2,000兆円に迫る勢いです。
参照元:財務省超富裕もしくは高齢者のタンス預金の一部を日本経済に還元するだけで、1年分の国家予算(一般会計)となる100兆円は簡単に超えていきそうです。
最近では貯蓄ゼロ世帯が騒がれていたりしますので、貧富の格差は広がっているのかもしれません。
超富裕層がお金を使えば、企業に勤めている会社員の給料も上がりやすくなるわけですので、お金持ちがお金を使いたくなるような日本になっていくと良いですね。
まとめ
日本は借金大国でありながら、対外純資産が豊富かつ独自通貨を持つ国です。
全然インフレが起きず、GDP成長率も平均賃金も投資額も他に国に比べて全然成長しない国なので、今後は大幅かつ長期的な経済支援対策が必要な状態です。
そんな状態で消費税を上げたり、増税策を相次いで実施してしまえば、冷え込んでいる消費がさらに冷え込み、日本経済は人口減少とともにどんどん小さくなっていくばかりです。
世間で出回っている(もしくは今後出てくるであろう)増税策を実施することが必ずしも正しいとは私は思いません。