皆さん、こんにちは。Gazです。
中東のイスラエルやシリアとの間に位置するレバノン共和国にて、預金封鎖(よきんふうさ)されたというニュースがありました。
その映像がこちら。
経済危機が続くレバノンでの預金封鎖。
— Gaz(ガズ)@資産運用ブロガー (@gazooblog) October 12, 2021
市民の怒りが銀行に向けられますが、ほぼ無力。
アルゼンチンやウルグアイ、キプロスでの預金封鎖も同様でしたが、お金の預け先、分配方法については先進国であっても考えておく必要があると思う。pic.twitter.com/QjegAobwHG
シャッターが閉められた銀行に市民が押し寄せて、石を投げたり叫んでいる様子が伺えます。
今回はレバノンの預金封鎖と私たち日本人がここから学べることについて解説していきたいと思います。
預金封鎖とは
まずは「預金封鎖」について、簡単に説明をしていきます。
預金封鎖とは、銀行が顧客から預かっている預金などの金融資産の引き出しを停止もしくは上限を決めて引き出し金額を制限することです。
引き出しを制限する目的は「自国通貨を他の国の通貨に換金してほしくない」「返済する預金が用意できない」というものです。
政府や銀行が預金封鎖を断行する時はたいてい国の通貨がハイパーインフレを起こしている時です。
ハイパーインフレとは、物価が急激に上昇することでお金の価値がゴミのようになっていく現象を意味します。自国通貨が売られて他の通貨に換金されるほど、ハイパーインフレは加速していくため、政府や銀行は換金を抑制するために預金封鎖を実施します。
一方で預金封鎖された国民は、現金を引き出すことができませんので自分の通貨の価値がゴミのように下がっていくのを指を咥えて待つしかありません。
一刻も早くドルや円、ポンドなどの安定した通貨に換金したいと思っていても預金封鎖されていては国民は何もできずに泣き寝入りするしかない状況に陥ります。
レバノンの預金封鎖
レバノンが預金封鎖を実行した理由は国債の発行総額が900億ドル(GDPの約170%)を超えており、国債の返済および銀行預金者への利子の支払いが困難になったということが原因です。
レバノンでの現地通貨は「レバノン・ポンド」ですが、主にはドルで経済が回っている特殊な国です。
経済は輸入中心であるにも関わらず、銀行金利が高いという魅力から海外移住者が銀行に通貨を送金することによって自国通貨の価値が維持されてきた背景があります。
直近10年の銀行金利は7%から11%台を推移しています。
参照元:ceicdata.com日本の銀行金利0.001%と比較すると、比較にならないほど高いことがわかります。
それほど通貨の価値が不安定ということです。
しかも一族経営されている銀行関係者は銀行株の保有比率が少なく、資産を海外に分散しているとのことで受けるダメージが極めて小さいというのも国民感情に触れる事実だそうです。
やるべき資産防衛
これらの事実から私たちが気づくべきことは2つあります。
1つは「政府は国民を優先しない」という事実です。
ブラジル(1990年)、アルゼンチン(2001年)、ウルグアイ(2002年)、キプロス(2013年)など世界各国で起きている預金封鎖ですが、政府が国民の金融資産よりも権力者や関係者の利益を優先する行動にでています。
預金封鎖は経済が不安定な海外に集中していますが、先進国であっても国民の利益よりも国や一部の富裕層や権力者などを優先することは珍しくないはずです。
そういう歴史を学ぶことができるなら、普段から政府を過信せずに自分の資産を1つの国だけにあづけておくことはリスクにもなります。
レバノンに比べれば日本はだいぶ安定している国ですが、自分の資産が日本円だけもしくは銀行預金だけという状況は危険かもしれません。
資産は適度に分散しておく
2つ目に気づくべきことは自分の金融資産を分散させておくということです。
分散先の候補としては、株式、債券、不動産など長期的に資産価値およびリセールバリューが安定している資産に限定されます。
預金封鎖を避けるには「タンス預金」や「貴金属」も有効だという声があるようですが、現金の場合は長期的にインフレの影響を受けることや盗難の可能性を考えると良い投資先とは言えません。
預金封鎖と連動して話題になるのがビットコインです。
話題になる理由はビットコインは銀行などの中央集権的な組織に管理されることがありませんので、銀行封鎖という現象は起こり得ないからです。
ただし、手数料や匿名性など不安定な技術であるが故に価格変動も激しく、法整備もこれからの技術となります。
私個人としては長期的な保有をするのであれば魅力が高いと考えますが、預金封鎖のリスクを考えてビットコインに投資するべきという安易な発想では投資しない方が無難です。