仮想通貨の税金
仮想通貨(暗号資産)に関わる税制は、国税庁から発表されている「暗号資産に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」を見れば理解ができます。
この資料を簡潔にまとめると、仮想通貨投資で課税されるパターンは以下の通りに集約されます。
【仮想通貨が課税されるパターン】
- 1. 暗号資産を売却した場合
- 2. 暗号資産で商品を購入した場合
- 3. 暗号資産同士を交換した場合
- 4. マイニングで暗号資産を稼いだ場合
- 5. 暗号資産をもらった場合
上記において発生した利益に対して、税金が課税されます。
1番は理解しやすいかと思いますが、特に危険なのが2番と3番です。
交換でも課税される仮想通貨
仮想通貨同士を交換した場合、どのぐらい課税されるのか例題みながら解説していきます。
たとえば、以下の流れで仮想通貨を交換すると約30万円の課税義務が発生します。
- 10万円で1BTC購入
(レートは1BTC = 100万円)
- 1BTCで15ETHを購入
(レートは1BTC = 300万円、1ETH = 20万円)
ポイントはETH(イーサリアム)を購入する際に、BTC価格が100万円から300万円に値上がりしていること。
加えて値上がり益を利用して新しい仮想通貨(今回の場合イーサリアム)を手に入れているということです。
仮想通貨の含み益を利用して新しい仮想通貨を購入する行為は税務上「利益を確定させる(現金に戻す)行為と同等」と認識されます。
ほぼ繰り返しになりますが、含み益がある状態で他の仮想通貨を買ってしまうと、一度現金に戻した後に他の仮想通貨を買っている行為と全く同じとして認識されるということです。
これを知らずに投資をしていると、思わぬ課税義務を受けてしまいかねません。
実際、東洋経済オンラインでは中部地方に住む年収300万円の40代シングルマザーがこれらの税金の仕組みを知らずして3,000万円の追加徴税を受けたと掲載されていました。
そんな状態に陥らないようビットコインに投資をしている方、もしくはこれから仮想通貨投資を始めようと考えている方は是非税金の仕組みを知ってほしいと思います。
海外の仮想通貨取引所に要注意
最近では、マイナーなアルトコイン購入や安い手数料目当てでBinanceやbybitなど海外の仮想通貨取引所を利用される方も多いと思います。
海外の仮想通貨取引所でトレードをしていると、日本円に現金化することが少なく、アルトコインやNFTに換金するなどの機会が多くなっていきます。
交換レートに差がある場合は当然税金が発生しますし、データのダウンロードや確定申告に必要な資料を集めるのも日本の取引所に比べて労力がかかるため、税金の支払いを無申告状態になるケースも少なくないはずです。
海外の仮想通貨取引所を使えば、税金を払わなくていいとはなりませんので、十分に注意が必要です。
DiFiにも要注意
仮想通貨関連サービスの中にはDiFi(分散型金融)やDEX(分散型取引所)というプロジェクトがあります。
難しい言葉で大変恐縮ですが、誤解を恐れず簡単に言えば特定の企業を通さなくても個人同士で仮想通貨を交換したり、手数料を稼いだりできるプラットフォームのことです。
そんな仕組みを使うと、仮想通貨は現金に戻すことなく簡単に他の仮想通貨に変更できたり、マイニングをしなくても仮想通貨を貸し出すことで利子を稼いだりすることができるようになります。
今の日本の法律ではこれらの仕組みも課税対象として認識されているため「知らずに稼いで税金を払っていなかった」という可能性が高くなります。
税制は理解しておかないと、一年後もしくは数年後に大変な爆弾となって襲ってくるので、投資をする前には十分に税制を理解しておきましょう。
暗号資産の税制は変わる
先ほど説明した通り、仮想通貨で支払いをしてしまうと、1円でも儲けていれば確定申告が必要(給与所得のある会社員であれば20万円まで免除)となったり、給与所得と同じで最大税率55%など、他の投資と比べて不利な状況があります。
そこで仮想通貨の重鎮が集まる2つの組織「一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)」「一般社団法人日本暗号資産取引業協会(JVCEA)」が協力して、日本の税制を変更してもらえるよう要望書を提出しています。
JCBAとJVCEAの会員でもあり、bitFlyer代表と「一般社団法人 日本ブロックチェーン協会(JBA)」の代表を務める加納 裕三氏がTwitterで以下のように発言されていました。
本日も、暗号資産の税制改正について自民党の先生方にお願いしてきました。
— 加納裕三 ⚡️(Yuzo Kano) (@YuzoKano) February 17, 2022
過去数年間のライフワークになってますが、今年は風を感じます。
仮想通貨は投資対象としての魅力だけでなく、ビジネスでも大きく活躍する可能性を秘めています。
しかし、税制がネックで日本では始められない経緯があり、有望な日本のスタートアップがシンガポールなどの非課税国(タックスヘイブン)へと逃げてしまっている状況が、今後止まるかもしれません。
衆議院議員である平将明氏も国会で仮想通貨の税制改正を訴えており、日本は少しずつ仮想通貨ビジネスを発展させるための土台が用意されてくる可能性があります。
これらの動きに、今度は河野太郎氏が反応。
自民党内で、税制改正すべく議論始まってます。
— 河野太郎 (@konotarogomame) February 16, 2022
Web3において日本の税制を変えない限り日本に未来はないと思う件について。|Sota Watanabe / 渡辺創太 @Sota_Web3 #note https://t.co/yy6ohuSMaM
増税に積極的な岸田内閣の元、どこまで進むかは未知数ですが、少しずつ声を上げてくれる人が増えているのも事実。
もしかすると、思ったよりも早く税制が改正されるかもしれません。
今後に期待したいです。