「靴磨きの少年」から学ぶ
ジョセフ・P・ケネディ氏(第5代米国大統領ジョン・F・ケネディの父親)が話した「靴磨きの少年」の逸話をご存知でしょうか。
その話はケネディ氏が少年に靴を磨いてもらっている中、以下のような言葉をかけられます。
「今、株が買い時です」
その後、ケネディ氏は全ての株売り払うことで、世界大恐慌(1929年に起きた株価大暴落)を乗り越えたというシンプルな話です。
この話は作り話という説もあります。
あまり信用しすぎるのも問題かもしれませんが、この話のポイントは以下の4つです。
【話のポイント】
- 1. 靴磨き少年に教養はない
- 2. 儲かる話は危険
- 3. 無知は騙される
- 4. 靴磨き少年は今もいる
当時、靴磨きの少年は株式投資ができるような教養はありません。勉強よりも毎日の生活費を稼ぐために必死な状態です。
そんな靴磨きの少年がケネディ氏に「今、株が買い時です」と言えたのは、きっとお客との世間話で得た情報があって、それをケネディ氏に話したというのが妥当です。
だからこそ、ケネディ氏は少年の言葉を聞いて【株式市場が過熱している状態で危険】と考えたのでしょう。
投資の失敗
投資というのは必ず儲かるような話ではありません。
ゼロサムゲーム(私の得は誰かの損、誰かの利益は私の損失)と言われるように、政府が株式市場にお金を投入しない限り、投資というのは短期的には資産の奪い合いです。
その奪い合いの世界において「確実に勝つ」という状況はありません。
儲かる話は危険
例えば、人口100人の村で株式投資をしたと想像してください。
村の中で数人しか株式投資をしていない状態では、株価はずっと低く、多くの人は株式投資に悪いイメージを持ったり、疑ってかかる人がほとんどです。
投資をする人が20人、30人と増えてくると、少しずつ投資に対して「投資は儲かるらしいぞ」と良い噂が流れるようになって行きます。すると、株価は上昇し始めます。
やがて投資する人が90人を超えると、株価は急騰しており、村中の人間が「株式投資は最強だ!儲かるぞ!」と騒ぎ始めます。
ですが、90人以上の人間が株を買ってしまった後、株価はもう上がりません。村に人が増えない限り、後は株価が下がるだけです。
それに気づいた村の人から株をどんどん手放して行きます。
そして株価が底をつくと、最初の状態に戻ります。
無知は騙される
ケネディ氏は靴磨きの少年を100人の村人のうち、90番目から100番目の村人だと考えたはずです。
私たちも多くの人が「株が買い時だ!」という状況に遭遇した時には、ケネディ氏のような判断が求められます。
最近では、SNSの普及によって簡単に情報を手に入れられる分、投資のことを軽く知った気になって資産を減らしてしまうこともあるはずです。
詳しくは上記の記事をご覧頂ければと思いますが、去年も米国ではGameStopなどのミーム株が流行りましたし、日本では海運株など急激な上昇相場に合わせて、多くの個人投資家が市場のトレンドの中に消えて行きました。
靴磨き少年のように「海運株最強!」「GameStopは儲かる!」と大きく声を上げる人はたくさんいます。
SNSで影響力のある方ほど多くの人を巻き込みますが、投資の知識がある人ほど、わざと知っていて巻き込まれる人はいないはずです。
SNSやインターネットが発達している今だからこそ、靴磨き少年の声を正しく判断できる知識が必要不可欠です。