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ソーシャルレンディング匿名化の理由

これまでソーシャルレンディングは貸付先の企業情報を様々な理由により公開せず、匿名化を続けてきました。

金融庁も匿名化を推進してきたということもありますが、なぜ貸付先の企業情報を公開しない方がいいのかを説明します。


匿名化は投資家を守るためだった

ソーシャルレンディング匿名化廃止

ソーシャルレンディング事業者が企業の情報を公開してしまうと、投資家は直接企業に貸付をしている事とほぼかわらないという見方ができるようになります。

資金を他人に貸付し金利を得る場合は「貸付業」の登録が必要となるため、貸付業を持っていない投資家はソーシャルレンディングに参加できなくなってしまいます。

貸付業を持っていない投資家でもソーシャルレンディングに参加してもらうためには、貸付先の企業情報を公開せず匿名化させる必要があったというのが、匿名化の大きな理由の1つです。


匿名化は貸付先を守るためだった

ソーシャルレンディングが匿名化を行わないことで起こるデメリットがもう一つあります。

貸付先が資金の返済に遅れた場合、投資家が直接貸付先と接触し返済を迫る可能性があったからです。

投資家に比べて貸付先の立場が弱いため、恐喝や脅しなどの犯罪につながるケースを懸念し匿名化を実行してきた経緯があります。


ソーシャルレンディング匿名化廃止の経緯

ソーシャルレンディングの匿名化が廃止されるまでにはいくつかの出来事が起きてます。


度重なる行政処分

匿名化は貸付先を守るための規制となるという目論見で金融庁も推進してきまいたが、結果として匿名化を悪用する貸付先が多発しました。

行政処分事業者一覧
時期 行政処分対象
2017年3月みんなのクレジット
2017年6月クラウドバンク
2018年3月ラッキーバンク
2018年7月maneo
2018年12月トラストレンディング
2017年3月みんなのクレジット

投資資金を乱用する事業者1

2017年3月に実施されたみんなのクレジットへの行政処分の内容は以下の通り。(細かい内容は証券取引等監視委員会のWEBサイトで閲覧可能)

  • 貸付先を自社グループ企業に集中
  • 担保なし案件を担保有りと虚偽表記
  • 投資資金を別案件の償還資金に流用
  • 投資資金を経営者個人の借入返済に使用
  • 債務超過のある企業への融資

ソーシャルレンディングが貸付先の情報開示をしなくても良いことを逆手に取った行為が次々と発覚していきます。

投資資金を別案件の配当金に当てる手法については詐欺行為(ポンジスキーム)と全く変わりません。


投資資金を乱用する事業者2

2018年3月に実施されたラッキーバンクへの行政処分の内容は以下の通り。(細かい内容は証券取引等監視委員会のWEBサイトで閲覧可能)

  • 貸付先のほどんどは親族が経営する事業
  • 不正に売上計上している企業へ貸付
  • 借入返済困難なファンド募集を事前に知りながら継続
  • 虚偽の不動産価格調査報告書を公表

ソーシャルレンディング事業を利用し親族が経営する事業の運転資金に充てたこと、それを実行するために不正審査や虚偽記載したことが問題となり、2019年3月14日付で関東財務局長(金商)第2807号の登録を取り消されました。


ソーシャルレンディング匿名化廃止を金融庁が決定

2019年3月18日、「金融庁における法令適用事前確認手続(回答書)」として以下の文章を公表しました。

資料の中から最も重要な部分を抜粋。

    照会書に記載された借り手が法人である融資型クラウドファンディングの投資家の行為については、貸金業法第2条第1項に規定する金銭の貸付けには該当せず、当該投資家は、同項に規定する貸金業者に該当しないものと考える。

この発表によりソーシャルレンディング事業者は貸付先の匿名化をする必要がなくなり、むしろ健全な投資行為を促進するために貸付先の審査が厳しくなったと言えます。


貸付先との接触を禁止する金融庁

先ほどの回答書において、金融庁は投資家と貸付先が接触することも禁止しています。

    なお、上記の方策にかかわらず、投資者と借り手が貸付けに関する接触をした 場合には、当該投資者は貸付行為を行っているものと評価され貸金業法違反とな るおそれがあることに留意する必要があるものと考える。

万が一、投資家が貸付先と接触した場合、投資家は貸付業法違反の罪に問われる可能性があるため、投資家が直接貸付先と接触することはできない決まりです。


ソーシャルレンディング匿名化廃止の対応

金融庁の公式見解発表当日(2019年3月18日)、匿名化を解除すると発表したソーシャルレンディング事業者があります。


スマホで貸付ファンドに投資できる「Funds」

「Funds」を運営する株式会社クラウドポートCEOの藤田雄一郎氏は自身のTwitterと情報メディアprtimesで匿名化を解除させることを発表しました。


Fundsは匿名化廃止が決定される以前から以下の条件に当てはまる企業にしか貸付ないことを公約しているソーシャルレンディングサービスです。

  • 上場企業
  • 監査法人と監査契約を締結している企業
  • ベンチャーキャピタルからの出資を受けているベンチャー企業

第三者機関からの監視を受ける企業を貸付先とすることで、不正ができない仕組みを構築しています。

そして2019年4月からはFundsで後悔するすべてのファンドにおいて詳細情報を公開すると公言しています。


Funsは当ブログでもおすすめソーシャルレンディング事業者として紹介していますので、是非以下の記事もご覧ください。

関連記事:【2019年比較】ソーシャルレンディング事業者おすすめランキング

【結論】ソーシャルレンディング匿名化廃止後にとるべき行動

匿名化が廃止された経緯を最大限考慮した場合に、投資家が取るべき行動があります。


匿名化を継続する企業の方針を監視すること

Fundsのように元々貸付先企業の情報公開を進めたかった事業者に対して、匿名化廃止は追い風となります。


そして情報公開をしない貸付先というのは、おそらく返済率あまり良くない貸付先でしょう。

今後は不正融資や関連会社への集中貸付など過去の行政処分を受けたような企業経営をしている企業がファンド募集金額を集められずに衰退していくはずです。


私たちは貸付先の企業状況を分析し、ソーシャルレンディング事業者と同じ姿勢で返済計画が真っ当なものなのかを判断していく必要があります。

くれぐれも●●が募集している企業だから安心など、ソーシャルレンディング事業者を信頼しきるのは危険だということを覚えておくべきでしょう。


貸付先と接触しないこと

金融庁からの発表があったように、私たち投資家が貸付先と直接接触しないことも重要です。

万が一、接触したことが発覚してしまうと貸金業法違反によって取り締まりを受けることになってしまうからです。

企業研究は大切ですが、貸金業法の理解も大切です。


有用な投資先を常に模索すること

ソーシャルレンディング事業者は1つではなく、様々な事業者が存在します。

募集ファンドも不動産投資や海外支援、太陽光設備などいろいろなタイプがあります。


大切なのはどの投資先(貸付先)が最も効率が良く、返済率が高いのかを考えることが重要です。

ソーシャルレンディングを始める際には、とるべきリスクを分析することも大切になります。

関連記事:ソーシャルレンディングは危ない?失敗や評判を解説