
この記事では以下の悩みや疑問を解決していきます。
「貸し倒れしたら確定申告が必要?」
「貸し倒れって避けられない?」
「貸し倒れで損をしたくない」
「なんで貸し倒れって起こるの?」
ソーシャルレンディングの「貸し倒れ」とは
ソーシャルレンディングで起こる「貸し倒れ」とは、事業者が投資家から集めたお金を融資後借り入れを行なった企業から返金すべき金額が帰ってこない状態のことです。
上の図にもある通り、借入を行なった企業が「倒産」や「経営破綻」などの状況に陥り、返済能力が無くなってしまった状態のことを「貸し倒れ」と呼んでいます。
貸し倒れが起こると当然投資家には配当金は愚か投資資金となった元本も戻ってこないという事態に陥ります。
貸し倒れはソーシャルレンディングのリスクとして、十分に把握しておきましょう。
貸し倒れとデフォルトは一緒
貸し倒れのことをソーシャルレンディング事業者によっては「デフォルト」と呼ぶことがあります。
デフォルト(default)とは債務不履行や債券の利払いが不可能になることです。
コンピュータ技術に詳しい方では初期設定のことをデフォルトと言いますが、金融業界ではデフォルトは債務不履行のことを意味します。
貸し倒れを防ぐソーシャルレンディングの仕組み
企業にお金を貸し付けるソーシャルレンディング事業者は貸し倒れを防ぐために以下のような取り組みをしています。貸し倒れを防ぐ施策 |
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案件精査で貸し倒れを防ぐ
ソーシャルレンディング事業者へ応募される案件の中から、どの案件に資産を貸し付けるかというのが貸し倒れを防ぐ対策の中で最も大切な作業と言えます。
ソーシャルレンディング事業者中には、目利き(案件精査)をする担当者をホームページで公開しています。
不動産特化型ソーシャルレンディングを展開するOwnersBookでは、社員の顔写真まで公開し事業の信用性をアピールしています。
出典:OwnersBookの主要メンバー紹介
金融資産担保で貸し倒れを防ぐ
ソーシャルレンディング企業は、貸し付ける企業の状況に応じて担保を請求します。
万が一貸し倒れの状況に陥った場合でも、担保を用意することによって貸し付けた資金の一部(または全部)を確実に回収することができるからです。
担保となるのは以下のような金融資産です。
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売掛債権とは、商品を販売した顧客から受け取っていない代金を請求できる権利のことを意味します。
不動産や有価証券も売却をすれば資産に変えることができるため、貸し倒れとなった場合には担保を売却し、資産の回収に利用されます。
連帯保証人で貸し倒れを防ぐ
担保の他にも、連帯保証人を請求するケースがあります。
一般的には貸し付けた法人の代表者を連帯保証人とする場合があります。
その理由は、原則として会社が破産した場合でも代表者が会社の負債を負うことがないからです。
法人(会社)と個人は別というのが法律の考え方です。
万が一貸し倒れとなった場合には、連帯保証人となった代表者の個人資産が没収されることとなります。
連帯保証人は代表者ではなく、関連企業が望ましい場合もあります。
それは保証人の財力が重要になるため、大物個人投資家や関連企業など財力が大きい連帯保証人が望ましいということになります。
ソーシャルレンディング貸し倒れ事件
ソーシャルレンディング市場では、一定の貸し倒れ事件が発生してしまいます。
しかし、事業者の中にはあまりにも不十分な管理体制を改善せずに悪質邸に事業を展開してる事業者も含まれています。
金融庁からの業務改善命令後、劇的に改善する企業もありますが、改善傾向にない企業も存在するため、業者選びは十分に注意が必要です。
maneoの現延滞総額は60億円越え
2018年11月より発生しているmineoの子会社への貸付を含めた60億円以上の延滞案件は、貸し倒れが避けられない状況と言っても過言ではありません。
maneo:【延滞発生に関するご報告】事業者AU社向け 2018年11月28日の元利金の未回収および全ファンドの利息に関するお知らせ
6件の延滞案件のうち20億円越えの案件が2件あり、大規模な延滞事例を何度も繰り返している状況です。
金融庁からもmaneoに業務改善命令が実行されました。
金融庁:maneoマーケット株式会社に対する行政処分について
ラッキーバンク放棄案件が298件発生
ソーシャルレンディングを展開するラッキーバンクは運用実績のある822件のうち、298件を放棄しています。
額面にすると49億円。。。
金融庁からの業務改善命令も受けていますが、具体的な進捗状況も公開されておらず、不明な点が多い業者です。
金融庁:ラッキーバンク・インベストメント株式会社に対する行政処分について
ソーシャルレンディング貸し倒れリスク回避術
貸し倒れのリスクは投資家の努力によって避けることが可能です。
不要なリスクを背負うのではなく、リスクは最低限まで抑えてリターンを得るのが本当に価値のあるソーシャルレンディングです。
貸し倒れは融資総額と比例するソーシャルレンディング
融資総額が多すぎる事業者が悪いというわけではありません。
ただ融資総額が大きい事業者とそうでない事業者を比較した場合に貸し倒れが起きるリスクは融資残高が大きい事業者の方が高い傾向にあります。
ソーシャルレンディング貸付金額最大手のmaneoの融資総額は1,500億円を超えていますが、延滞総額も最大手となり60億円を超えているという状況です。
ソーシャルレンディング事業者を選定する場合、融資総額が多い企業は貸し倒れリスクが高くなっている事も留意しておきましょう。
貸し倒れはファンドによって変わるソーシャルレンディング
ソーシャルレンディングは貸付先の事業内容によって、貸し倒れが起きるリスクが大きく変わります。
SBIソーシャルレンディングでは不動産型とオーダーメイド型で大きく実績が分かれます。
SBIソーシャルレンディングの貸し倒れ実績 |
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日本のソーシャルレンディング事業者の貸付先は、ほとんどが法人となっています。
しかし、アメリカなど海外のソーシャルレンディング事業者では個人に貸し付けるところが多く、貸し倒れリスクも法人と比べると多く発生しているというのが現状です。
当然、個人に貸し付けるよりも法人に貸し付ける場合の方が貸し倒れリスクが低くなります。
日本のソーシャルレンディング事業者のほとんどが法人へ貸し付けるため、万が一個人への貸付を行う事業者を選択しようとしている場合は、法人への貸付を行う事業者に選び直すことをおすすめします。
分散投資で貸し倒れリスクを軽減する
貸し倒れリスクを軽減させる手段として最も有効なのが、「分散投資」です。
分散投資をすることによって、リスクを2分の1、3分の1と軽減させることができます。
分散投資をしている場合とそうでない場合の貸し倒れリスクを比較してみましょう。
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事業者Aで貸し倒れが発生したと仮定します。
分散投資をしていない場合は、全額(10万円)を失うリスクにさらされます。
しかし、分散投資している場合は事業者Aに投資していた2万円は貸し倒れリスクにさらされますが、残りの8万円については無傷となります。
この場合分散投資をしている方の貸し倒れリスクは、分散投資していない方と比べるとわずか5分の1まで貸し倒れリスクをおさえていることになります。
これが分散投資のメリットです。
貸し倒れでも確定申告すべきソーシャルレンディング
ソーシャルレンディングで年間で20万円以上の利益を発生させた場合、給与所得者は確定申告を行う義務があります。
ソーシャルレンディングでの年間利益が20万円に達しなかった場合、確定信仰をする必要はないと考える方がほとんどですが、そうではありません。
ソーシャルレンディングでは貸し倒れで損失を蒙ったときにも確定申告はするべきです。
貸し倒れで確定申告すると税金が戻ってくる
ソーシャルレンディングでは、配当金が毎月(もしくは毎年)もらえるというのが一般的です。
その配当金は源泉徴収分の税金が引かれた状態で投資家に振り込まれます。
万が一、貸し倒れで手元に利益が全く残らなかった場合、配当金から差し引かれた税金は支払わなくてもいい税金だったということになります。
そうなれば確定申告をすることで、その分の税金が税務署より還付(戻ってくる)仕組みになっています。
この状態で確定申告を放置してしまうと税金は戻ってきませんので、忘れずに申告する必要があります。
ソーシャルレンディングのメリット
ソーシャルレンディングでは一定の貸し倒れリスクを抱えなければ投資することができないため、リスクが高いと考える方も多いようです。
しかし個人的な考えを申し上げると、ソーシャルレンディングを実施しないことのデメリットの方が大きいと考えています。
貸し倒れリスクを取れば、金利が増える
ソーシャルレンディングを実施していない方の多くは、銀行預金に自己資産を預けているはずです。
銀行預金には元本が減るような貸し倒れリスクはありません。
しかし現在の普通預金の利回りは「0.001%/年」となっていますが、ソーシャルレンディングの平均利回り4~15%と比べると約4,000~15,000分の1となっています。
貸し倒れリスクをとることで約4,000倍のスピードで資産が増えていくと考えれば、資産状況にあわせて貸し倒れリスクをとるべきです。
貸し倒れリスクを取らないデメリット
預金10万円をソーシャルレンディングで運用した場合と普通預金で運用した場合を比較していみましょう。
時期 | ソーシャルレンディング | 普通預金 | 差額 |
1年目 | 100,000円 | 100,000円 | 0円 |
10年後 | 142,331円 | 100,009円 | 42,322円 |
20年後 | 210,685円 | 100,019円 | 110,666円 |
30年後 | 311,865円 | 100,029円 | 211,836円 |
40年後 | 461,637円 | 100,039円 | 361,598円 |
50年後 | 683,335円 | 100,049円 | 583,286円 |
60年後 | 1,011,503円 | 100,059円 | 911,444円 |
ソーシャルレンディングの利回りは4%、普通預金は0.001%の利回りで計算しています。
同じ10万円でも年利4%で回し続けた場合、60年後には約90万円ほどの資産格差がついていることがわかります。
もちろんソーシャルレンディングの案件の中には4%よりも高い利回りを出している案件もあるため、それらと比較すれば90万円以上の価値がでることは言うまでもありません。
逆に貸し倒れリスクを怖がってしまい、普通預金で60年間保有し続けるのはリスクとも考えられます。
おすすめソーシャルレンディング事業者
これからソーシャルレンディングをはじめようとされている方が、どの事業者を選べばいいのか、かなり不安も多いはずです。
当ブログではそんな投資家をサポートするためにはおすすめの事業者を紹介しています。
以下の記事より、内容を確認してみてください。
関連記事:【2019年比較】ソーシャルレンディング事業者おすすめランキング