投資にはルールが山ほどある

ポーカーやカジノ、競馬、宝くじ、パチンコなど、世の中には様々なギャンブルが存在していますが、どれも勝敗を決めるのは個人の能力とは別で「運」によるところが大きいはずです。

ですが、投資は運の要素がないわけではありませんが、実力によるところが勝敗を左右させます。

割合で言えば、実力8に対して、運の要素は2割ぐらいの感覚だと思います(あくまで個人的な見解です)。

だから負けないように(資産を減らさないように)いくつかの投資ルールを設けながら、挑戦することが一般的です。

以下は私が思いつく限りの投資ルールをまとめてみました。

【投資に必要なルール一覧】
  • 投資先を調べずに投資してはいけない
  • 理解出来ないビジネスに投資をしてはいけない
  • 大きなリターンを狙ってはいけない
  • 感情的に投資判断をしてはいけない
  • 借金で投資をしてはいけない
  • 余剰金のみで投資をする
  • 生活費に手を出さない
  • 必ず少額から投資を始める
  • レバレッジをかけてはけない
  • 売りから入らない
  • 他人が売るときに買う
  • 他人が買うときには売る

投資で勝つためには、ルールが重要です。

ギャンブルのようにお金を使って遊ぶのと違って、どちらかというと仕事やビジネス、副業に取り組むような感覚に似ています。

投資を「とりあえず始める」ではなく、準備をしながら満を持して始めるような感覚です。

これが投資とギャンブルとの違いの1つです。


投資は経験や能力が重要

先ほどのルールからも想像できる通り、投資には経験や能力が勝敗を有利にしてくれる側面があります。

十分な貯金や安定的な収入を持って投資を始められる人ほど、長く投資を続けることができますし、レバレッジや空売りを使わないほど大きく損失をする可能性は低くなります。

準備やルールを持って取り組む人ほど、投資では大きな失敗をしにくいイメージ(努力するほど成績が良くなるのではなく、失敗する確率が低くなる程度のニュアンスです)。


対してギャンブルでは、サイコロを振るのに特別な能力や経験は関係ないですし、宝くじの購入方法によって当選確率が変わるということもないと思います。

勝てば高額な賞金を受け取れる一方で再現性は低く、ギャンブルを運営する企業によって企業側の利益と遊ぶ人の儲けのバランスが上手にコントロールされています。

投資とギャンブルとの違いは、自分でコントロールできるか、そうじゃないかの違いもあります。


ギャンブルばゼロ百の世界

ギャンブルの多くは、賭け金がゼロか、大儲けするかという極論でしかありません。

スロットでも競艇でも、賭け金はゼロになるか、当選して大儲けするか、「当たり」「ハズレ」の二つの結果しか用意されていません。

そして、「当たり」の確率が極めて低すぎます。


2018年の年末ジャンボ宝くじで言えば、2018年11月21日(水曜日)~2018年12月21日(金曜日)までの間に4億8,000万枚(1,440億円分)の宝くじが販売されたとのことなので、1等の当選確率はわずか2,000万分の1。

2,000万分の1という当選確率は、東京ドーム5個分の敷地面積に宝くじ券を敷き詰めて、そこから1枚しかない当選券を引き当てる行為と一緒。

交通事故にあう確率の方が宝くじに当選するよりも600倍可能性が高いため、ほぼ無理だということがわかります。


対して、株式投資は損失額が賭け金に対して-10%ということもあれば、+10%で着地することもあります。

「大当たり」と「大外れ」の中間が用意されているか否か、途中退場ができるか否か、ということも投資とギャンブルの大きな違いの1つです。


ギャンブルは期待値がマイナス

期待値とは、参加者の掛け金に対して戻ってくる割合(還元率)を意味します。


例えば、AさんとBさんが1,000円ずつ出し合い、ジャンケンで買った方が2,000円を受け取るというゲームを実行したとします。

このゲームの期待値は100%です。

その理由は、参加者の掛け金が100%参加者に返金されているからです。


今度はCさんがAさんとBさんから1,000円ずつ受け取り、ジャンケンで勝ったAさんとBさんどちらかに1,500円を支払うというゲームをしたとします。

この場合の還元率は75%(= 1,500円 ÷ 2,000円)となります。

参加者から2,000円を徴収し、75%にあたる1,500円しか参加者に還元していないからです。

胴元(例えで言えば、Cさん)の取り分が多い取引ほど、参加者の取り分(= 期待値)が少なくなるゲームと言えます。


では、公営ギャンブルがどのくらいの期待値があるのかを見ていきましょう。


公営ギャンブルの期待値
ギャンブルの種類 期待値
オンラインカジノ98%
パチンコ・パチスロ85%
競馬80%
競艇・競輪75%
宝くじ46%

公営ギャンブルは全て期待値が100%以下となります。

当たり前かもしれませんが、参加者が支払った金額以上のお金が参加者全員に返ってくる事はあり得ません。

【お金流れ(計算式)】
    参加者の賞金 + 胴元が受け取る利益 = 参加者が支払う賭け金

ほとんどのギャンブルでは、上記のような計算式が成り立ちます。

ギャンブルの参加者はゲームを通じて、一部の勝者と胴元にお金を移動させているに過ぎません。


投資は期待値がプラスになることもある

米国市場の株式投資の歴史を見れば、期待値は100%以上であることがわかります。

ジェレミー・シーゲル
出典:株式投資の未来(著者:ジェレミー・シーゲル)

ドルや金のトータルリターンは横ばいですが、米国株と米国債に関してはトータルリターンが右肩上がりとなっており、長い期間投資を続けれさえすれば、基本100%資産はプラスになっています。

国や機関投資家、個人投資家が長い歴史において、米国株式市場にお金を投資し続けているため、お金と投資家の流入が途絶えない限り、常に参加者全員が得をする可能性があります。

まさに、プラスサム・ゲームです。


ちなみに、これは米国株式市場に見られる歴史であって、投資すべてがこのような状態になるわけではありません。

日本株や為替FXなどは、株価の上下を繰り返しており、長い歴史においてプラスではなく、むしろマイナスです。

そういう投資市場では、ゼロサムもしくはマイナスサムゲームとなります。


【ゼロサム・ゲーム】
    参加者全員の利益と損失の合計値がゼロになるゲーム理論。総和がゼロとなるので自分の損失が誰かの利益になり、自分の利益は誰かの損失で成り立っている仕組み

【プラスサム・ゲーム】
    参加者全員の利益と損失の合計値がプラスになるゲーム理論。誰か一人が勝つことも可能ですが、参加者全員がプラスしくは損失をせずにゲームを終了することが可能な仕組み

【マイナスサム・ゲーム】
    参加者全員の利益と損失の合計値がマイナスになるというゲーム理論です。全員が勝利することは不可能で誰かが必ず負けなければいけない仕組み。競馬やパチンコなど胴元が利益を搾取するギャンブルはすべてマイナスサム・ゲームとなります。



まとめ

ギャンブルと投資の違いをまとめると、以下の通りです。

【投資の特徴】
  • 運よりも準備と実力次第
  • 実はルールがたくさんある
  • 期待値がプラスの時もある

【ギャンブルの特徴】
  • 運の要素が大きい
  • 再現性が低い
  • 負ける時はゼロで負ける
  • 期待値が全部マイナス

努力せず負け続けても良いから、人生どこかで一発逆転したいという方は再現性の低いギャンブルが良いのかもしれません。

投資は地道な作業で価値を狙っていくものなので、ギャンブルと投資は「似て非なるもの」だと思います。

投資はギャンブルではないと、私は考えています。