仮想通貨ビットコインとは

スケーラビリティ問題を説明する前に、問題の原因である仮想通貨(ビットコイン)の仕組みについて説明していきます。

ビットコインには誰かにビットコインを送金するたびに送金データをブロックに格納していく仕組みがあります。

ブロックは送金データが蓄積するたびに鎖(チェーン)のように連なって増えていくため、ビットコインの送金データ(取引履歴)を「ブロックチェーン」と呼んでいます。

ブロックチェーン

スケーラビリティ問題の原因はブロックチェーンの中にある「ブロックのデータサイズ」とブロックをつなげるための仕組みである「マイニング」にあります。


1MBのブロックサイズ

 

ビットコインの取引データを格納するブロックは、1ブロックに対して「1MB」の量のデータしか格納する事ができません。

1つのブロックを生成するために約10分間かかるため、10分間で6MB分の取引データが発生した場合では取引処理に最低1時間はかかるという仕組みになります。


ビットコインのマイニング

ビットコインのブロックチェーンを作るためにはマニングという作業が必要不可欠です。

マイニングとはコンピュータに計算をさせてビットコインを報酬としてもらう行為です。

ビットコインのマイニングは1番早く計算した人にしか報酬(ビットコイン)をもらう事ができないというルールがあるため、世界中の人々が高スペックのコンピュータマシンを24時間体制で稼働させながらマイニング市場に参入しています。


仮想通貨ビットコインのスケーラビリティ問題

スケーラビリティ(scalability)とは、利用者やシステムが拡大するにしたがって適応できる能力や度合いのことを意味します。

スケーラビリティの語源は「スケール(拡張、拡大)する」という意味ですが、仮想通貨市場においては今後ビットコインやイーサリアムなどの利用者が増えることによってシステムが耐えれるか、利便性が落ちないかという度合いを指しています。


そして、ビットコインのブロックサイズとマイニングによって引き起こされるスケーラビリティの問題をまとめると以下の通りです。

スケーラビリティ問題まとめ
  • 仮想通貨の送金時間が遅くなる
  • 仮想通貨の送金コストが高くなる
  • 地球環境への悪影響が進む
  • コンピュータ価格が高騰する

仮想通貨の送金時間が遅くなる

先ほどビットコインのブロックサイズについて説明した通り1MBを超えるデータを1つのブロックで格納することがビットコインにはできないため、ビットコインは10分間に1MBを超える取引を処理する事ができません。

世界中のビットコイン保有者が一度に取引しようとすると膨大な取引処理をする必要がでてくるため、取引完了までの時間は利用者が多ければ多いほど長くなります。

2017年12月から2018年1月では史上最高の取引量が発生し、ビットコインを送金してから4日、5日間送金の取引が完了しなかったという報告も多数あります。

2017年仮想通貨先進国と言われていた日本でさえ当時の仮想通貨普及率は10%以下となっています。今後ビットコインを利用する人が急速に増えた場合、もっと大きな送金遅延が発生することは確実とされており、この送金遅延問題がスケーラビリティの問題となっています。


仮想通貨の送金コストが高くなる

ビットコイン取引の仕組みでは、送金時に支払う送金手数料(ハガキで言えば切手代みたいなもの)を高く設定することで比較的早く取引を完了させることができます。

送金手数料の高さは他の取引と比べて高いか低いかで判断されるため、利用者全員が送金手数料を上げてしまえば、それほど送金完了までの時間は変わりませんが、高ければ高いほど早く完了する構造となっています。

2017年12月にビットコイン市場が急騰した結果、日本の仮想通貨取引所は送金時間を短縮するために、送金手数料を一時的に引き上げる結果となりました。

ビットコイン利用者が増大するに従って、現状のシステムでは利便性を維持するために送金手数料をあげる手段が使われてしまいます。

500円の飲食代を支払うために送金手数料が3,000円もかかるという事態も発生し、ビットコインは利用者が増えれば増えるほど使いづらくなるというスケーラビリティの問題が発覚しました。


地球環境への悪影響が進む

ビットコインのマイニングは大量のコンピュータと電気を使う事で有名です。

マイニングが盛んな中国では火力発電所で作られた電気を採用しています。

マイニングに供給される電気がすべて風力や太陽光などの再生可能エネルギーであれば、環境への影響は少ないのですが、原子力発電所などのエネルギーを使っているため、今後マイニング市場が大きくなっていくと必要な電気エネルギー量も増えていきます。

大量の電力を供給するために、大規模なCO2の排出やプルトニュウムなどの汚染物質のゴミ処理が加速する影響もあり、マイニングを使った仮想通貨は拡大するにつれて環境への影響も無視できなくなっています。


コンピュータ価格が高騰する

マイニングをするコンピュータは一般的なコンピュータよりも高性能です。

マイニング専用のコンピュータASICチップが開発され計算処理性能の高さは一般のコンピュータと比較になりません。

中国を中心に世界中のマイナー(ビットコインをマイニングする方々)がASICチップを欲しがるため、制作するために必要な部品の値段は高騰します。

コンピュータチップはスマートフォンから宇宙ロケットなどさまざな製品に組み込まれているため、コンピュータチップを必要とする商品の価格が上昇する可能性もあります。


スケーラビリティ問題の解決方法

スケーラビリティ問題を解決する方法はいくつかあります。

仮想通貨市場はまだまだ発展途上のため、今後はもっと効率的な解決方法が見つかったり、逆にもっと大きな問題が発覚する可能性もあるということはご留意ください。


Segwit(セグウィット)

Segwit(セグウィット)とは、ビットコインの取引データを圧縮する技術です。

Segwitを導入することにより、ビットコインのブロック(1MB)に格納できるデータ量を増やすことができます。

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Segwitは2017年7月21日にすでにビットコインに導入されています。それでもなお、スケーラビリティの問題は解決していません。


サイドチェーン

サイドチェーンとは、メインのブロックチェーンから派生するブロックチェーンのことを意味します。

サイドチェーン

メインのブロックチェーンから違うチェーンを派生させることにより、メインチェーンの取引処理を代替したり、メインチェーンの欠陥を補完することが可能となります。

サイドチェーンを採用している代表的なブロジェクトとして、loom NetworkやLISKが挙げられますが、サイドチェーンも仮想通貨市場同様に将来性のある技術です。

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イーサリアムの創始者ヴィタリク氏もサイドチェーンの技術には注目しており、Plasma(ブラズマ)チェーンとよばれる無数のTree状のチェーンを作ることで、スケーラビリティの問題を解決するブロジェクトを進めています。


合意形成アルゴリズムPoW

仮想通貨はビットコイン以外にもたくさんありますが、すべての仮想通貨がマイニングを必要としているわけではありません。

ビットコイン、イーサリアム、MoneroなどPoWというシステム(合意形成アルゴリズム)を採用している通貨のみがマイニングを必要とします。

マイニングを採用しない仮想通貨にはリップル(XRP)があります。イーサリアムも将来的にはPoWを採用することをやめる計画があり、マイニングを必要としない仮想通貨に変わる予定です。

マイニングがなくなることにより、大量の電気消費からくる環境汚染やコンピュータチップの高騰といったリスク(スケーラビリティの問題)を避けることができます。