トークンエコノミーとは

現在の経済(エコノミー)はドルやユーロなどのお金によって成り立っており、これを「貨幣経済」と言います。

トークンエコノミーとは、貨幣経済で利用されている現金(ドルやユーロ、日本円など)が仮想通貨(トークン)に変わることで成り立つ経済を意味します。

トークンエコノミーを言い換えるならば「仮想通貨によって成り立つ経済」です。


仮想通貨(トークン)とは

資金決済法では仮想通貨を「不特定の者を相手として購入及び売却を行う事ができる財産的価値であって、電子情報処理組織を用いて移転する事ができるもの」と定めていますが、仮想通貨の概念はそれほど単純ではありません。

仮想通貨を理解するにはビットコインを理解するのが効率的です。

関連記事:仮想通貨ビットコイン(Bitcoin)の仕組み、相場、取引所をわかりやすく解説

貨幣経済の課題

新しいトークンエコノミー(仮想通貨経済)に対して、既存の開閉経済には様々な弊害や課題が多く残されています。

トークンエコノミーを理解ために、私たちが普段使っている現金の問題について考えてみましょう。


使われない現金

日本円は個人のタンスか銀行に預けられ、だんだんと使われなくなっています。

日本のタンス預金合計は47兆円と言われており、1世帯当たりに直すと200万円程度(中央値)の預金があるということになります。

金融広報中央委員会(知るぽると)の調査によって、1世帯当たりの金融資産は380万円程度であり、そのうちの半分以上は預金で構成されていることが明らかです。

家計の金融行動に関する世論調査 (2017年)

  • 1. 調査時期・・・2017年6月16日(金)~7月25日(火)
  • 2. 調査対象・・・全国 8,000世帯
  • 3. 回収率・・・47.1%
  • 4. 抽出方法・・・層化二段無作為抽出法
  • 5. 調査方式・・・訪問と郵送の複合・選択式

他の先進国では金融資産の半分以上を預金に回す国は珍しく、アメリカであれば13%、ヨーロッパであれば35%程度しか預金がありません。

現金を使わないのは個人だけではなく、法人も一緒。

有望な投資先を見つけられなかったり、将来の万が一の事態に備えてという考えから日本企業の内部留保は446兆円を超えており、年々増え続けているのが現状です。


信用低下する現金

法定通貨(現金)は各国の中央銀行によって無限に発行できる仕組みです。

統計情報ポータルサイトの「NIPPONの数字」によれば、各国のマネーストック(通貨供給量)は年々急激に上昇しています。

マネーストック

しかし、それぞれの価値は直近20年をみても法定通貨の価値は上下を繰り返しながら下がっている状況です。

つまり、発行される量が多くなるたびに1円当たりの価値、1ユーロあたりの価値が下がっているということです。

NIPPONの数字:先進国のマネーストック推移

先進国の通貨よりももっとひどい状況(ハイパーインフレ)が発展途上国では起きています。

南米にあるベネズエラでは原油価格の下落とアメリカによる経済制裁により1ヶ月で物価が2倍以上となるハイパーインフレが起きました。

日本経済新聞や各メディアが映像で捉えるようにコーラ1本買うのにも大量の札束が必要な状況です。


他にも、ジンバブエやアルゼンチン、トルコでも自国の通貨が紙くず同然の価値までさがってしまい国民は毎日の食事にありつけないほどの物不足に陥ります。


匿名性の高い現金

現金はお金の所有者がどのように移動しているかを調べる事がでいないことから匿名性が高い通貨として認識できます。

銀行強盗で盗んだ1万円も一生懸命働いて稼いだ1万円も同じ価値で利用されるため、麻薬密売や反社会勢力の取引など地下経済へ法定通貨(日本円、ドル、ユーロ)が流れ込んでいます。

地下経済にお金が潤うことによって、麻薬密売などのビジネスの拡大は加速していきます。

メキシコでは政府と癒着が進み麻薬の輸出額が300億ドルを超えており、今もさらに拡大し続けています。


麻薬密売などの地下経済によって、お金の匿名性が引き起こす危険性を認識する事ができます。


トークンエコノミーと貨幣経済の違い

前項で貨幣経済には以下のような弊害があることをご理解頂けたはずです。

  • 現金は使われずに貯金する人が多い
  • 現金の信用は年々低下し、経済恐慌を引き起こす
  • 現金は麻薬密売など犯罪に利用される可能性が高い

新しいトークンエコノミーではこのような現金による課題を解決する事が可能だと言われています。


使われやすいトークンエコノミー

インターネット上で売買される仮想通貨(トークン)はデジタル紙幣です。

デジタル紙幣は現金に比べて、「使われやすい」という側面を持っています。

Amazonでお買い物を経験した人なら、普段は購入を迷う商品でもついつい購入してしまった経験があるはずです。

実際にネットで購入する人の割合や金額は年々増え続けており、経済産業省の調べでは国内の電子商取引市場規模は2010年の7兆円から2017年では16兆円と拡大しています。

EC市場
経済産業省:電子商取引に関する市場調査

お金という現物を見ずに買い物を済ませられることから、お金を使っているという感覚が現金に比べて希薄であり、支払いへのハードルが低いと言えます。

クレジットカード決済でお金を頻繁に利用してしまう行為も同様の心理が働きます。

逆にインターネットを使って購入の申し込みを受け付けた後、コンビニ決済や銀行振込の手段を促す場合は極端に利用者(購入者)が減ってしまうという結果も出ています。

信憑性の高いトークンエコノミー

ビットコインの仕組みを知れば明らかですが、トークンエコノミーではブロックチェーンという技術により、世界中すべての利用者が貨幣の量や流れを随時確認することが可能です。

トークンエコノミーでは利用している貨幣がどのくらい使われていて、誰がどのくらいもっているかを認識し利用者全員で監視し合えるため、勝手に通貨の量を増やしたり、不正に取引したりすることもできません。

このブロックチェーン技術のおかげでトークン利用者はトークンの価値を信じることできます。

法定通貨の場合、各国のマネーストックを調べるにしてもWEBサイトの隅々までをみなければわからないほどに、分かりにくい場所に通貨発行量が記載されており、実際に記載されている数字も正しいかどうかを調べる術(すべ)はありません。

国の法定通貨の価値は政府の力が弱まれば下がります。

自国(防衛力や政治力)の未来を信用するのか、技術(ブロックチェーンや数学)を信用するのかという二択の場合、現代の人々にとっては技術の方が信頼しやすいことは明らかです。


低コストであるトークンエコノミー

仮想通貨の代表格であるイーサリアムに利用されている「スマートコントラクト」という技術を使えば、より低コストな仕組みを作る事が可能です。

例えば、税を徴収するためにスマートコントラクトを利用すれば、税務局がなくても自動で給料から税金を引く事が可能です。税務局を稼働させるために費やす資本が丸ごと生きるため、国民に徴収される税金の総額は減る可能性もあります。

食品業界にトークンエコノミーを導入すれば食品の値段がやすくなり、自動車業界に導入すれば既存のシステムよりもより安価な仕組みを構築できるため、自動車の値段を下げる事が可能となります。

つまり、各業界にスマートコントラクトを使ったトークンエコノミーを導入させることによって、より良いサービスが低コストでできるというメリットが生まれます。

スマートコントラクトやイーサリアムについては以下の記事をご覧ください。

関連記事:イーサリアム(Ethereum)とは?今後の将来性

お金以外の価値を生み出すトークンエコノミー

トークンエコノミーではお金以外でも価値を共有することが可能です。

お金以外に共有できる価値
  • 時間
  • SNSのフォロワー数、いいね
  • 経験、スキル、知識

過去にお金の代わりとなったものといえば、ゴールド(金)や国債などでしたが、ブロックチェーンの技術を使えば、もの以外でも価値を共有したり売買することが可能となります。

トークンエコノミーではお金、時間、評価、スキルなどいろいろな経済圏を個人が選択できるようになります。

年齢が若ければ時間経済によるトークンエコノミーではお金持ち(時間持ち)として存在する事が可能です。

歳をとったとしてもスキルや経験があれば、それを資産に変える事ができるトークンエコノミーに参加すれば、そこで資産を増やす事ができるという仕組みがトークンエコノミーでは実現できます。


トークンエコノミーの活用事例

2012年、スウェーデンでは非接触型決済システム「Swish(スウィッシュ)」というサービスを開始しました。

その結果、買い物はもちろんのこと教会への寄付や路上パフォーマンスのおひねりまでスマホを使って決済する人が増え、2017年では30歳未満の成人でおよそ90%が利用するようになりました。

スウェーデンでは「現金お断り」の店も多く、現金の流通量はGDPのわずは1.3%となっています。

デジタル決済は現金に比べて物を購入する心理的なハードルが低く、消費行動が活性化しやすいという特性があります。

その結果、スウェーデンではわずか5年でGDP(国内総生産)が24%も上昇しました。

国民が現金を持ち歩いたり、必要としなくなったため銀行強盗などの犯罪が減るなどのメリットも生まれています。

以下はSwishを紹介している動画です。