ステーブルコイン

この記事では以下の悩みや疑問を解決していきます。

    「ステーブルコインってどんな意味?」
    「ステーブルコインを購入するにはどうしたらいい?」
    「ステーブルコインの仕組みが知りたい」
    「日本発のステーブルコインはある?」

もくじ(コンテンツ)









ステーブルコインの意味

ステーブルコインとは値動きのない、価値が安定した仮想通貨です。

通貨や商品の価値は市場や相場により変動するのが原則ですが、ステーブルコインでは需要と供給の量を調整することにより、価値を一定に保っています。


ステーブルコインのメリット

ステーブルコインのメリット
  • 一定の価値を保存することができる
  • 暴落するリスクが少ない
  • 課税対象になりにくい

ステーブルコインは一定の価値を保存できる

ビットコインなど値動きの激しい仮想通貨の場合、客が支払ったビットコインをお店の売り上げとして計上しようとすると、時間の経過により全く異なった資産価値になってしまうという不自由が起きてしまいます。


ステーブルコインでは、ビットコインのような値動き(ボラティリティ)がありません。

国際送金手数料や取引処理にかかる時間が短縮されるという仮想通貨の良い点をもちつつ、日本円と同じように一定の価値のまま利用することができるため、将来性が明るいとされています。


ステーブルコインは課税対象になりにくい

ステーブルコインでは価値の変動がほとんどないため、仮想通貨と日本円を交換したとしても通貨の交換によって損得をすることはありません。

日本の税率では通貨同士の交換で発生した利益に税金がかかる仕組みとなっていますが、ステーブルコインでは売却益がほとんど発生しないため、税金の対象になりにくくなっています。


ステーブルコインの金融庁見解

2018年10月、仮想通貨メディアBitcoin.comの取材により、日本の金融庁は「原則上、法定通貨に準拠(ペグ)したステーブルコインは、現行の資金決済法が定義する『バーチャル・カレンシーズ』には該当しない。」と回答している。


ステーブルコインに関わる法律

仮想通貨を扱う場合、改正資金決済法に準拠しなければなりません。

仮想通貨交換業を持たずにステーブルコインを扱うためには、「前払支払手段」を遵守するか、「資金移動業者ライセンス」を取得する必要があります。

関連記事:改正資金決済法とは?仮想通貨の定義と前払式支払手段の違い

ステーブルコインの仕組み

法定通貨の場合は、国の信用力を担保に銀行券が発行されます。

仮想通貨の場合は国のような信用力はないため、法定通貨や金など現在価値のあるものを担保にしなければ、ステーブルコインは実現しにくい仕組みとなっています。


ステーブルコインには3つのタイプ(仕組み)があります。

ステーブルコインのタイプ
  • 法定通貨担保型ステーブルコイン
  • 仮想通貨担保型ステーブルコイン
  • 無担保型ステーブルコイン

法定通貨担保型ステーブルコイン

法定通貨担保型ステーブルコインとは、新規発行したステーブルコインと同等の価値のある法定通貨持つことによってステーブルコインの価値を担保する仕組みです。

ステーブルコインの発行量と同じ量の法定通貨をもつことで、ステーブルコイン保有者はいつでも同等の価値のある法定通貨に換金することができます。


法定通貨は時価総額など国の信用力が高い通貨ほど、担保としての価値は上がります。

法定通貨の時価総額ランキング
通貨名 時価総額
アメリカドル1,800兆円
ユーロ1,300兆円
日本円1,200兆円
ゴールド850兆円
ビットコイン20兆円
イーサリアム12兆円

仮想通貨担保型ステーブルコイン

仮想通貨担保型ステーブルコインはビットコインやイーサリアムなど主要仮想通貨を担保にしたステーブルコインです。

仮想通貨担保型ステーブルコインでは、ブロックチェーンエクスプローラーで担保されている仮想通貨の量をリアルタイムで確認することができるため、システムを疑う必要がありません。


一方で仮想通貨の場合は価値の変動が激しく、ステーブルコインの価値を保つために必要となる仮想通貨の総量が法定通貨担保型ステーブルコインよりも大きくなる傾向にあります。


無担保型ステーブルコイン

無担保型ステーブルコインとは、担保を用意せずに特定の金融指数(もしくは金融商品)と同等の価値を維持するステーブルコインです。


担保を用意せずに価値を維持するためには、シニュレッジ・シェアという手法を使います。

シニュレッジシェア(seigniorage Share)とは、貨幣の発行割合のことを意味します。


日本円やドルなど各国の法定通貨は、常に価格が変動しつづけていますが大きく価格が暴落したりすることのないよう、通貨の発行枚数を調整することによって通貨の価値を調整しています。(この行為がシニュレッジ・シェアです。)

シニュレッジシェアが大きくなればなるほど、通貨の価値を下げる効果があり、逆にシニュレッジシェアを小さくすると通貨の価値をあげることが可能です。


ステーブルコインの種類

仮想通貨にはたくさんのステーブルコインがありますが、2019年2月時点で時価総額の高い通貨順で紹介していきます。


ステーブルコイン:Tether(USDT)

Tether(テザー)は、Tether Limited社が発行しています。

通貨単位がUSDTと言われる通り、アメリカドルと同等の価値を持った法定通貨担保型ステーブルコインです。

Tether(USDT)の概要
項目 詳細
シンボルUSDT
公開日2014年10月6日
システムProof of Reserves
公式サイトtether.to
ホワイトペーパーWhitepaper.pdf

Tether(USDT)は仮想通貨の購入や法定通貨の退避先としても利用されていると言われており、仮想通貨市場ではかなりの人気があります。

ただし、Tether(USDT)の時価総額は2,260億円を超えており、2,260億円以上のアメリカドルをTether Limited社が保有しているかどうかが不安視されています。

2018年10月時点でDeltec銀行からTether社が2,000億円以上の資産を保有していることを伝える文章が公開されした。(この文書の信ぴょう性は十分なものでないという見方もあります。)

万が一同額以上のアメリカドルをもっていない場合、USDTは価値の保存ができなくなるため、一気に暴落する可能性が高くなります。


ステーブルコイン:USDCoin(USDC)

USDCoin(USDC)は、仮想通貨取引所Coinbaseと仮想通貨決済事業を展開するCircleが共同出資して創業した「centre」によって発足した法定通貨担保型のステーブルコインです。

USDCoin(USDC)の概要
項目 詳細
発行元centre
通貨単位USDC
公開日2018年10月
トークン規格ERC-20
発行上限なし
公式サイトこちら
ホワイトペーパーこちら
ブログこちら

USDCの大きな特徴は「オープンソース」であるということです。

オープンソースとは、利用、修正、配布などを目的に関わらず許可している製品(ソフトウェア)のことを意味します。

USDCは以下の発行者条件を満たすことができれば、世界中だれでもUSDCを新規で発行することが可能です。

USDC発行者条件
  • 営業管轄内の該当するすべてのライセンスを保持
  • FATF基準を満たすAMLおよびコンプライアンスプログラムを監査
  • 発行されたトークンで埋蔵量を1:1で保有
  • 認定された公的審査員が証明した埋蔵量の毎月公表された証拠を提供
  • 他の権限を与えられた発行者からUSDCトークンの売買をサポート
  • centreによって確立された報告およびレビュー要件を満たすこと

日本発ステーブルコイン

日本にもいくつかのステーブルコインが存在します。

これから発展していく仮想通貨市場を知る上で日本のステーブルコインも目が離せません。


日本発ステーブルコイン:LCNEM

LCNEMはNEMブロックチェーンを利用した日本初のステーブルコインです。

LCNEMの概要
項目 詳細
公開日2018年6月25日
トークン規格NEM
運営元株式会社LCNEM
代表者代表取締役 木村 優
拠点京都府京都市
設立年月2018年3月
公式サイトhttps://lcnem.cc/

LCNEMは前払支払手段として販売することで、仮想通貨交換業の登録がなくても日本で取り扱いが可能となっています。

前払式支払手段とは、新通貨を発行する前に前払いで法定通貨を支払うこと。

プリペイドカードや商品券と同じ仕組みで、通貨を発行(もしくは利用)するには必ず法定通貨が裏付けとなります。

関連記事:改正資金決済法とは?仮想通貨の定義と前払式支払手段の違い

日本発ステーブルコイン:GMO Japanese YEN

GMOインターネットは日本円と連動したステーブルコイン「GMO Japanese YEN(ティッカーシンボル:GJY)」をアジア地域で2019年に発行することを発表しました。

GMOプレス:日本円と連動したステーブルコイン(円ペッグ通貨) 「GMO Japanese YEN(ティッカーシンボル:GJY)」を アジア地域で2019年度に発行

詳細はまだはっきりしていません。

詳細が分かり次第追記したいと思います。


ステーブルコインを取り扱う取引所

日本の取引所でステーブルコインを取り扱っている取引所はごくわずかです。

というのも、現時点でステーブルコインを利用するシーンがあまりないからです。


仮想通貨取引所Liquidでは、CoinbaseとCircleのステーブルコインUSDCの取り扱いを開始したことを発表しています。

外部リンク:QUOINE、Liquidでステーブルコイン USDCの取り扱いを開始へ