仮想通貨ペトロから学ぶ地域団体によるICO

2018年以降、地域団体による仮想通貨を使った資金調達するプロジェクトが出始めてきました。最近もっとも注目されたのが2018年2月20日にベネズエラの大統領が発表した「仮想通貨ペトロ」です。

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ベネズエラは徴兵義務や政治的な迫害を理由に亡命する人口が年々増えており、国際組織としてまともな考えを持っているとは思えません。アメリカからの経済制裁や戦争などにより歴史的な経済破綻に陥ったベネズエラが仮想通貨を使って、国策の財源確保を始めましたが、この国に投資しようとという考えは普通はおきないはずです。


地方自治体によるICOには希望がある

しかし、もっと小さい範囲での地方自治体による財源確保と地域づくりには非常に魅力を感じることもあります。東京など各国の都心で暮らしている方であれば、なかなか感じにくいかもしれませんが、地方で暮らしている人々にとっては不便なことがたんさくんあります。

  • 家から駅までの距離が遠くて不便、バスの本数が少ない、タクシーだと高すぎる
  • 近くにショッピングモールやアミューズメント施設がほしい
  • 道路が舗装されてない、街灯が少なく、道が狭くて運転しづらい
  • 学校にエアコンがほしい、設備を新しくしたい などなど

このような不便なことを解決するために、市や県などの自治体が資金調達を実行し、建設やサービス展開をすることによって地域はより便利になり、新しく雇用も生まれて良い事づくしというわけです。


岡山県西栗倉村(Nishi Awakura Coin)

西粟倉コイン

岡山県にある西粟倉村(人口約1,500人)は、面積の約95%が森林で占める自治体です。2008年から木材の伐採、加工、販売事業を展開しており、これらの事業を支えるため仮想通貨による資金調達を実施しようという計画があります。


Nishi Awakura Coinの仕組みと課題

西粟倉村ICO

(引用元:https://nishiawakura.org/pdf/20180613_news_release.pdf)

ホワイトペーパーにある構想を確認すると、クラウドファンディングのように間に「仮想通貨交換業者(地方創生交換業者)」が仲介し、さらにトークンエコノミー協会が間に入って資金を流動させる流れになっています。

通常仮想通貨ブロジェクトによるICO(資金調達)では、運営・開発側とユーザの間に仲介する企業を挟む事はありません。なぜなら中央集権的な管理となってしまい、不正が疑われるからです。資産流動は全てブロックチェーン状で実施され、仮に行儀委員会などの仕組みを採用するのであれば、リップルのようなコンセンサスアルゴリズムを導入するか、PoWやPoIのようなシステムを導入するべきです。

Nishi Awakura Coinの問題は、実施場所が日本という事もあり、金融庁視点ではICOの実施はグレーです。

現状(2018年)ICOを実施することは、マネーロンダリングや顧客資産(ウォレット)管理などのセキュリティ体制が不十分なことにより、金融庁の指摘が入る事が予測されます。仮想通貨交換業の登録を完了している業者でさえ、業務改善命令が頻繁にでてるほどなので、仮想通貨交換業の登録を完了してない自治体が実行するのはほぼ不可能と考えられます。


カルフォルニア州バークレー

アメリカのカルフォルニア州にあるバークレーでは、Neighborlyとカルフォルニア大学バークレー校のブロックチェーンラボと協力し、ICOの準備を進めています。

バークレーをはじめとした国からの助成金が行き届かない地域では、麻薬販売など違法な方法で生活費を稼ぐ人々が増え、地域の住環境を悪化させています。地元バークレー市の市議会メンバー(Ben Barlett氏)は、独自トークンは必要な人々への寝床確保の先に、トランプ政権への防衛手段であると語っており、トランプ政権など国の意見と違った方向性で地方の成功を目指す地域にとって、新たな資金調達方法が生まれるのは非常に興味があります。


地方債、住民税の徴収よりもICOはスマート

地方自治体は、市の住民税や支援団体などを使って資金調達をする方法をいくつかもっている事は事実ですが、現状の方法で資金調達を実施しようとすると国の管理下となるので、不必要な制限を受けながらでないと実施はできません。

また、マーケティングや広告活動等を考えると採算が合わない事も事実です。

2017年以降のICOによる資金調達額の傾向をご存知であれば理解が早いかもしれませんが、ICOでは数億、数十億の資金が一瞬で集まるという効果が2018年においてもまだ存在しています。このような方法は地方自治体にとっても有効な手段と言えますし、地域の利便性はどの住民にとってもかなり高い需要があるため、今後に期待したいと思います。